今まで発音の重要分野としてご紹介した「音節・音素の発音・
フォニックス・音の変化・プロソディ」の基礎を習得したら、
ゆっくり話せば内容をほぼ理解してもらえるレベルに達せます。
ただ更に上を目指すなら、もう1つだけ学ぶべき分野があります。
それが、今回ご紹介する「発声」です。
英語の「発声」とは具体的に何?
「発声」とは言葉の通り、声の出し方なのですが、
これが英語と日本語ではかなり違います。
では、具体的にどのような点が違うのでしょうか?
その違いを簡潔にリストアップしてみますと、
- 息の出し方
- より強い息の勢いが必要。
- 腹式呼吸にすると楽になる。
- 声の共鳴点の意識と移動
- より喉の奥の方を響かせる。
- 母音や鼻音の子音の発音では特に重要。
- スムーズな発音を助けるための「筋力」
- 舌の動きが圧倒的に多い。
- 口・あご・頬まわりの動きも多い。
- 喉に柔軟性が求められる。
- 口のホームポジション
などが主要なものとして挙げられます。
それぞれの具体的な説明については、
それぞれの音素の発音の仕方の説明とともに
音声や動画付きで説明しないと分かりにくいと思いますので、
ここでは控えさせてもらいますが、
それでもかなり多岐に渡った違いがあることは
お分かりいただけたかと思います。
「発声」を改善するとどうなるのか?
さて、英語の「発声」で意識して改善すべき点をご紹介しましたが、
これらの点を改善したとして、英語を使ったり学んだりする上で
どのようなメリットがあるのでしょうか?
感じやすいメリットには、次のようなものがあります。
- 英語の音素が正しくハッキリと出しやすくなる。
- 英語を話したり読んでる声がネイティブに近づく。
- 理解してもらいやすい「発音」になる。
- 英語が上手いと思ってもらいやすくなるので自信になる。
- 英語を話すスピードを発音を崩さずに上げられるようになる。
- 発音の難しい単語・フレーズが発音しやすくなる。
- 学習時にモデル音声に近い発音ができるようになり、効率が上がる。
- 発音だけに意識を集中しなくても、発音が崩れにくくなる。
以上のように、主に自分が話したり音読したりする時に
より良い体験を得られるものが多いです。
「発声」の改善は必須?どこまでやるべき?
メリット満載の英語の「発声」の改善ですが、
英語を使ったり学ぶ上で必須とまで言えるのでしょうか?
その質問には、「英語を使う目的による」としか答えられません。
つまり、「発声」を意識的に学んだりトレーニングしなくても、
なんとかなる用途・目的もあるということです。
それらは、リスニング・リーディング中心のインプット作業だったり、
こちらがゆっくりめに話しても問題ない状況
(海外旅行や「発音」の良さが仕事の成果に影響しない海外業務など)
でのスピーキングなど、多くの学習者にとって十分な成果となる用途ですので、
それらさえできれば目的が達成できるという場合には、
「発声」を重点的に学ぶ必要性はそれほど高くないのかもしれません。
ただし、音素の正確な発音や、単語・フレーズの発音に必要な
最低限の発声のポイントやコツは身につけておかないと、
学習(特にリスニングや音読)の時も話す時にも支障がでますので、
そのレベルまでの習得は事実上「必須」とも言えます。
そしてなにより「発声」が上達すると、
「プロソディ」の上達と同じくらいのインパクトで
英語の発音が上手く聞こえるようになるので、
英語を使ったり学ぶのが断然に楽しくなる効果は見逃せません。
「発声」の改善は、ほんの少し意識を変えてみたり、
普段の学習に少しだけ組み込んだりすることでも見込めるので、
一定の線までは学習コストもそれほど高くありません。
ですから、実用的な英語を身につけたいと思われる方には、
ぜひとも取り組んでほしい分野であることは間違いありません。
「逆転英語ガイド」では「発声」をどう教える?
「逆転英語ガイド」における
「発声の方法・トレーニング・コツ」の扱いについても
前項と同様の考えに基づいています。
つまり、どの程度のスキルが必要かは、
学習者各自の目標や現在の進捗具合によって変わってきますので、
「音節・音素の発音・フォニックス・音の変化」などの
他の発音の基礎のように初期にまとめて教えるのではなく、
必要な段階で必要なものだけを教えるという方針です。
例えば、発音の基礎の学習をしている時には、
「息の基本的な使い方」や「声の共鳴点の意識」など
正しい発音をするのにほぼ必須な基礎項目に留めたり、
プロソディの学習や音読の仕方を学ぶ時には、
それに必要なトレーニングやコツをスポット的に教えたり、
などと臨機応変に進めていくということです。
対面授業やSkype授業でないと教えきることが難しい分野ですが、
Webサイト上でも重要ポイントを伝えるのは可能だと思いますので、
少しでも皆さんのプラスになる情報をお伝えできるように努めていきます。
まとめ
さて、「英語の発音で学ぶべき6分野」シリーズの
最後の分野の「発声」でしたがいかがでしたでしょうか?
「発声」のトレーニングというと歌手や俳優になる人のための
ボーカルトレーニングのようなものばかりを想像してしまいがちですが、
それ以外の英語の発声特有の気をつけるべきポイントもあることが
お分かりいただけたのではないかと思います。
英語学習における「発声」の必要性は、
目的や用途によって変わってきますので一概には言えませんが、
「逆転英語ガイド」を通じて獲得していただきたいと思っている
実用的な英語の習得を目指している方ならば、
必要に応じて少しずつ学んでいかれた方が学習の道中も楽しくなりますし、
最終的な到達点も満足の行くところまで辿りつけると思います。
「英語の発音で学ぶべき6分野」として、
「音節・音素の発音・フォニックス・音の変化・プロソディ」に続く
最後の1ピースとして、英語の「発声」にも目を向けていただければ幸いです。
それでは、また!