英語でプロソディ(リズム・アクセント・抑揚)が重要な理由と学び方

ここまで英語の発音学習で重要な6大分野の内、
音節・音素の発音フォニックス・音の変化の4項目を見てきました。
今回は、発音学習の分野の中で最重要とも言えるプロソディについて、
「なぜそれほど重要なのか?」
「何を・どうやって・どれくらい勉強したらいい?」

という疑問へもお答えできるような形で解説をしていきたいと思います。

この記事の目次

プロソディ (prosody / 韻律)って何?

外国人によるビジネス会議

「プロソディ」とはあまり聞きなれない用語ですが、一体何なのでしょうか?

プロソディ(prosody・韻律)とは、自然な英語の発話の中における、音の

  • リズム (rhythm / 緩急・間・テンポ)
  • ストレス (stress / 強弱・強勢・アクセント)
  • イントネーション (intonation / 高低・抑揚)

をまとめた、英語の音の流れの音楽的な要素全てのことを指します。
歌におけるメロディのようなものです。
(言語学的にはもっと厳密な定義があるのですが、
今回はそこまでは踏み込みません。)

「音節・音素の発音・フォニックス・音の変化」までを習得できれば、
英語を話す際にも音素レベルでは適切な発音ができるようになります。
上記の歌の例で言えば、歌詞の文字が読めるような段階です。

しかしそれだけでは、ロボットのような単調な話し方はできても、
人間のような感情のこもった意味の取りやすい自然な話し方はできません。
その差を埋めるために必要なピースこそが「プロソディ」です。

このプロソディをしっかりと使いこなせれば、
文章の意味・主旨を音でハッキリと表現できます。
つまり、自分の伝えたいメッセージを伝えやすくもなりますし、
逆に相手の言っていることの真意も理解しやすくなります

ここからは、そのプロソディをさらに理解していただくために、
解説を続けていきたいと思いますが、
リズム・ストレス・イントネーションについて個別に説明すると
かえってプロソディ全体の果す役割が見えにくくなってしまいます。

そこで本記事では、「プロソディが文や話の意味をハッキリさせる」とは
具体的にどのようなことなのかを表す例を4つほど紹介しながら、
その3つの要素がそれらの中でどのように働いているかに言及する形で
説明していきたいと思います。

プロソディの果す役割の具体例

今回ご紹介する、プロソディの果す役割の具体例は、

  1. 言いたい単語が何かをハッキリさせる。
  2. 文の中で強調したい部分を表す。
  3. 文の中での意味の区切りを表す。
  4. 話の全体的なトーン・雰囲気を決める。

の4つとなります。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.言いたい単語が何かをハッキリさせる。

たくさんのオレンジ

意外かもしれませんが、発音した単語を聞いて分かってもらうには、
音素の発音以上にこのプロソディが果す役割が大きいのです。
特にリズムとストレス(アクセント)が重要です。

例として、 「orange」 という一見簡単そうな単語で見てみましょう。
(実は、ほとんどの日本人が正しい発音を知らない難単語なのですが。)

まずはリズム
単語の中にいくつの音の固まり(音節)があって、
それぞれの音節がどれくらいの長さで発音されるかによって、
その単語の音の輪郭が決まります。
ここを間違えるだけで、単語を全然認識してもらえなくなることもあるので、
特に注意が必要です。

orange は英語なら or・ange と2音節で、
最初の or に長い時間を割きますが、
日本語のオレンジなら4拍で「レン」の部分に時間が割かれます。
小学校の音楽の授業で習ったような手拍子風に表すと、
前者が「タータ]、後者が「タタンタ]ほどの違いがあります。

次にストレス(アクセント)で、どの音節が強調されるかによっても、
単語の聞こえ方がまるで変わってきます。
英語では、そのアクセントの位置を示すのに、(日本語と違って)
音の強さ(ストレス・強勢)と長さを主に使います。
上のorangeの例でも、太字の時間を長くかける部分が強く・長く発音されます。

このアクセントの位置も、英語の単語を使い分ける上では非常に重要です。
これが違うだけで別の単語に聞こえることもありますし、
同じスペルの単語でも produce のように
アクセントの位置で品詞が変わる単語も相当数あるからです。

イントネーションは英単語の区別には使われない。

最後にイントネーション(抑揚・音の高低)ですが、
これは英語では単語の区別のために使われることはまずありません。
(後述しますように、文の中で強調したり、
特別な意味を持たせたい時に使うことはあります。)

日本語では、単語のアクセントの位置を示すために音の高低を使うので、
(「かん」と「み」を高くは言っても、
みーかん」と強く長く言ったりはしませんよね?)
日本人は、英語の単語のアクセントを示す時にも
無意識にこれをやってしまいがちです。

そのように、単語のアクセントをイントネーションで付けてしまうと、
かなり単語が伝わりにくくなる場合もありますので、
意識的にそのクセを取り除けるように注意が必要です。


以上のようなプロソディのポイントを正しくつかんで発音しないと、
orange のように一見簡単に発音できそうな単語でも、
たとえ音素の発音が合っていたとしても
全く伝わらないということがありますので、プロソディの重要性が分かります。

(私も英語を覚えたての頃に、orange juiceを必死に頼んでも、
その時の私の発音のプロソディが似ていたためか
coca colaが出てきた苦い思い出が・・・。)

2.文の中で強調したい部分を表す。

黒板の前に立つ教師

文の中で強調したい単語やフレーズは、
書き言葉なら文字を大きくしたり、太字にしたり、
色を変えることなどによって、それを表現できますが、
話し言葉の場合はそんなことはできませんので、
代わりにプロソディを使って表現することになります。

強調したい単語の前では一旦間を置いて、
その単語は十分な時間をかけて発音したり(リズム)、
強め(ストレス)や高め(イントネーション)に発音することによって、
話し言葉でも文字を装飾するかのように、
単語やフレーズをプロソディによって強調することができます。

その強調の仕方によって、文の伝えたい意味ですら変わってきます。
例えば、

“I’d like you to have this.” とyouを強調すれば、

「私は(他の誰でもなく)あなたにこれを受け取ってほしい。」
という意味になりますし、

“I’d like you to have this.” とthisを強調すれば、

「私はあなたに(他のものではなく)これを受け取ってほしい。」
という意味になります。

似たような意味の文章ですが、
文のメッセージの焦点が変わってくるわけです。

このように強調の仕方によって、
伝える内容ですら変わってしまうので、
ここでもプロソディの果たす役割の大きさが伺えます。

3.文の中での意味の区切りを表す。

スライスされたパン

短い文章ではそれほど重要ではないかもしれませんが、
少し長めの文章を音で理解しようとする際には、
プロソディによって意味の固まりが区切られていることが
非常に大きな助けとなります。

例えば、次のような文章があったとします。

When I was a little kid, my neighbor who lived in a small but nicely designed house used to bring us some home-baked cookies once in a while.

これを意味の固まりで区切るのを文字上で表すと次のようになります。

When I was a little kid, || my neighbor / who lived in a small / but nicely designed house || used to bring us / some home-baked cookies / once in a while.

( || が大きな意味の区切りで、
/ が小さな意味の区切りや間を置いておきたい箇所です。)

英語を話す際には、このような意味の固まりの区切りを
微妙な間の取り方や、音の強さや高さの変化によって表現
します。

また重要な内容語はやや強めにハッキリと発音し、
機能語やそれほど重要でない内容語は弱めに発音する
(あるいは弱形といって、母音が曖昧になったり子音の一部が脱落する)
ことによって、文の中の重要な部分をより伝わりやすくします。
(前項で説明した「単語の強調」とは違って、
特別な意味を持たせる意図が無くても、このレベルの強調は起こります。)

普通の日本人にとっては、英語を聞くほうが読むより難しいのですが、
このプロソディで意味の固まりが区切られる感覚や
キーワードとなる単語に強勢が置かれる感覚が分かるようになれば、
音声が構文解析を既にしてくれた形で頭に入ってくるので、
聞くほうが読むより楽
になったりします。

逆に話す側に立った時、プロソディを全く無視して英語を話すと、
聞いてる方は一旦頭の中で文字の文章に直してから、
それを分析して意味を解釈していかなければならなくなるので、
理解してもらうために大きな負担をかけることになってしまいます。

(日本語でも抑揚の無いロボットのような話し方を聞いてると、
分かりにくいので、頭が疲れて眠くなりますよね?それと同様です。)

このように、プロソディで文の中の意味の区切りを作るというのは、
コミュニケーションの両方の側面で重要な役割となっているわけです。

4.話の全体的なトーン・雰囲気を決める。

夜景のきれいなレストラン

これは、日本語でもあてはまるので分かりやすいと思いますが、
(プロソディーも含めた)話し方の様子によって、
その話の全体的なトーンや雰囲気が決まってくることがあります。
例えば、

  • 普通のモード。
  • 質問をしている。
  • 親身にアドバイスしている。
  • 事務的な回答。
  • 感情的に非難している。
  • 皮肉を言っている。

などと、様々なニュアンスや意味合いを、
その話し方だけで文に付け加えることができます。

もちろん顔の表情などのボディーランゲージによるものも大きいですが、
声によるプロソディーも上記のようなトーンを伝える重要な要素ですので、
やはり、おろそかにはできません。

プロソディの学び方を学ぶ前に理解しておきたいこと

教師と生徒の授業風景

プロソディが英語のコミュニケーションにおいて
どのような役割を果たして、それらがどれほど重要かということは、
ここまでの説明でおおよそ分かっていただけたかと思います。

そうなると、やはり次に気になるのは、
「プロソディの何を・どれくらい・どうやって学べばいいのか?」
ということではないでしょうか?

この質問への答えはやや複雑になります。
なぜならば、

  • プロソディの学ぶ部分によって学び方も変わる。
  • 学習者の予備知識や学習環境によっても学び方が変わる。

という2つの要因があるため、これらの多様性を考慮すると、
学び方の説明もどうしても単純にならなくなってしまうからです。

それでも、できるだけシンプルな説明になるように努めますが、
どうしてもこの2つのポイントについては
事前に理解しておいていただきたいので、
それぞれどういう意味なのか説明していきたいと思います。

プロソディの学ぶ部分によって学び方も変わる。

様々な種類のサイコロ

これは冒頭から述べてきましたように、プロソディにも多くの側面があり、
そのどの側面を学ぶのかによって、そのアプローチも変わるということです。

そのアプローチのタイプ別にプロソディで学ぶ項目を分類すると、
次の3つに分けられます。

1. ある程度は体系的に学べる、広い範囲に共通のパターン。

  • 「強調したい単語は強めに長めに発音する」
  • 「質問をする際には、文末で音が上がり気味になる」

のように、英語を使う様々な場面に共通して現れる汎用的なパターンです。

このようなパターンの種類はそれほど数が多くありませんし、
規則性や応用性も高いので、(書籍などで)体系的に学ぶことも可能です。
(参考図書やサイトは、後ほどご紹介します。)

2. 単語・フレーズ・構文を学ぶつど覚えていく個別のパターン。

  • 「単語のアクセント(ストレス)の位置」
  • 「フレーズや構文を読む際の間や抑揚の取り方」

など、先ほど説明した「共通パターン」をベースにしながらも、
学んでいく表現ごとに個別に覚えていく必要のある個別のパターンです。

「共通パターン」が理解するため・覚えやすくするための知識としたら、
この「個別パターン」は実際にリアルタイムで使うための知識と言えます。

覚える項目の数は当然、単語・フレーズ・構文の数ほどありますので、
まとめて一気に覚えるのは無理ですから、
それらの項目を覚えるつど一緒に覚えていくことになります。

(接尾辞と音節の数が共通する単語のアクセントの位置や、
that に関するプロソディなど汎用性の高いものも一部ありますが、
それらはどちらかというと、「共通パターン」に属する項目と言えます。)

3. とにかく生の英語に多く触れて学ぶしかない感覚的なもの。

  • 「長めの文を話す時の間や抑揚の取り方」
  • 「細かい感情やニュアンスの表し方」

のように、ネイティブが実際に話しているのを数多く聞き、
脳内にプロソディとそれが表す状況・文脈を結ぶリンクを蓄積し続けて、
地道に練習・実践していくことでしか身につかない感覚的なものです。

本などから理論的に学ぶだけでは一部しか理解しきれないので、
国内の独学では学びにくい分野ではありますが、
対策はありますので後ほど説明したいと思います。


このように、

  1. ある程度は体系的に学べる、広い範囲に共通のパターン。
  2. 単語・フレーズ・構文を学ぶつど覚えていく個別のパターン。
  3. とにかく生の英語に多く触れて学ぶしかない感覚的なもの。

と、それぞれのアプローチのタイプによって、
学ぶタイミング・期間・手段が変わってきますので、
これらのタイプを区別することによって、
今自分が学習しているのはどれなのか、
ということを把握しながら学んでいくことが重要となります。

学ぶ人の予備知識や環境によっても学び方が変わる。

集団ストレッチの光景

これらのタイプ別の学習をどのように・どれくらい進めていくべきかは、
学ぶ人のこれまでの学習歴や現在の英語環境によっても変わってきます。

もう少し具体的に表すと、次の3つのポイントにまとめられます。

  • 英語の「音」に関して、どれだけ学んで身につけてきたか?
  • 単語・文法・文解釈など音以外の英語の基礎力はどれくらいあるか?
  • 生の英語に触れられる機会はどれだけあるか?

特に最後の「生の英語に触れられる機会の多さ」に関しては、
「生の英語に多く触れて学ぶしかない感覚的なもの」
の学び方や順序に大きな影響を与えます。

英語圏に住んでいたりして日常的に英語を聞いている人と、
国内在住で勉強の時以外はあまり英語に触れられない人では、
勉強の方法がだいぶ違ってしまうのは当然といえば当然です。

今回は学習の仕方の説明をシンプルにするために、
そしてプロソディの学び方をより必要としてる方の助けとなるために、
主な対象として「国内で主に独学で学んでいる方」
を想定した方法を解説していきたいと思います。

これはつまり、生の英語に接せる機会は多くても

  • 既に録音・録画されている音声・動画コンテンツの視聴。
  • 授業や交流などで行うちょっとした(週数時間以下)の会話。

あたりしか無い中で、プロソディをどう学んでいったらいいのか、
ということに焦点をあてた説明になるということです。

この点をご理解していただいた上で、
続く解説を読んでいただければ幸いです。

プロソディの学習フローチャート

学習フローチャートを書く手

さて、いよいよ本題です。

  • 記事の冒頭で説明したような役割別のプロソディのタイプ
  • 学習アプローチ別のプロソディのタイプ
  • 学ぶ人の英語の学習歴や環境における差

などの項目によって学び方が変わるということを
頭の片隅に入れていただいた上で、
国内で主に独学で英語を学んでいる方が
英語のプロソディを学んでいく際の参考となるような
学習フローチャートの一例をご紹介したいと思います。

次の6つのステージの流れ

  1. サブリミナル的に英語のプロソディーの感覚を大まかにつかむ。
  2. 発音の他の基礎について学ぶ。
  3. 体系的に学べるプロソディの基礎について学習する。
  4. 単語・フレーズ・構文の学習と共にそれらの個別パターンを覚える。
  5. 文内の意味の区切り方(=音読の仕方)を学ぶ。
  6. トーンやニュアンスを含んだプロソディを学ぶ。

に沿って説明していきます。

ただし、あくまで学習の流れの解説ですので、
具体的なトレーニングの解説までは行っていないステージもあります。
それでも各自で具体的な学習法を決める際の指針となるような
ポイントや外部の書籍・サイトについては触れていきますので、
ぜひ最後までご一読ください。

1. サブリミナル的にネイティブ英語のプロソディーの大まかな感覚をつかむ。

集中しているDJ

プロソディーの学習でいの一番でやっておくべきなのが、
プロソディーの感覚を「大まか」につかんでおくことです。
(これは、英語学習全体の中でも最初の方にやっておくべきことです。)

これはどういうことかというと、
英語の発音の細かいところは気にせずに、
聞こえたままにその特徴的なところだけをつかむということです。

タモリさん 博多うどんを外国語で解説

分かりやすく言いかえると、タモリの外国人マネのネタのように、
聞いた時に「これはなんとなく英語っぽいな」と思えるような
音の特徴を(大体でいいので)捉えるということです。

こんな、一見勉強ではないようなことを学習の最初にやるのは、
最初からネイティブ向けのコンテンツ(=映画・ドラマなど)で
学習を始めるのはちょっと難しい人でも、
そこに至るまでに使う英語学習教材の音源が持つ
独特なプロソディーに染まりすぎないように
後で軌道修正するためのメンタルモデルを
最初の内に作っておきたいからです。

プロソディの大まかな感覚をつかむには、映画などを頭が痛くなるまで集中して聴き続ける。

では、この「英語の音の特徴」を捉えるにはどうしたらいいのでしょう?

本格的に捉えられるようになるには相当の時間がかかってしまいますが、
ここはあくまでも「サブリミナル的に」「おおまかに」つかめればよいので、
短期間で集中してサッと終えられるトレーニングだけで済まします。

それが見出しのタイトルにもある

「映画など(のネイティブ英語)を頭が痛くなるまで集中して聴き続ける。」

です。

リスニングに使う音源は、映画・ドラマ・ニュース・Web動画など、
ネイティブ向けに作られているものならば何でも構いません。
(できれば3〜4つほど、別種類の音源を用意できた方がいいです。)

音源が用意できましたら、まずは1〜2時間ほど、
意味が分からなくてもいいので、
とにかく音の流れだけに集中して聞いてみてください。

(この時、全く意味が分からないと飽きてしまうかもしれないので、
見たことのある映画やドラマを字幕無しで見るのがお勧めです。)

英語をそれだけの時間集中して聞くと、頭が痛くなってくると思いますが、
それは、頭が英語のプロソディーに順応しようとしてるいい兆候です。
(時間が許すならば、この頭の痛みを感じるまで聞き続けてほしい所ですが、
1〜2時間程度でも効果は出ると思いますので、十分です。)

そして、英語の音の流れに慣れてきたと思ったら、
今度は聞くだけでなく、聞こえてくる音をシャドーイングのように、
言葉ではなくそのまま音としてマネするように続いてください。

イメージとしては、先ほどご紹介したタモリのネタのように
音の特徴の大枠をつかむような気持ちでやってもらえたらと思います。

口が疲れてきたら、また聞くだけに戻って、
また慣れてきたらマネを始めるというようなサイクルを
頭が疲れるまで、または時間の許す限り続けてください。

最低でも1回はやってほしいのですが、
可能ならば後2〜3回ほどできるとなおよいです。

上記の集中的な長時間リスニングは、
英語学習の初期段階ではずっとやり続ける必要はありません。
けれど、時間が許せば週に30分〜1時間程度、
疲れてる時やお風呂に入ってる時のBGM代わりでもいいので、
ネイティブ向けの英語の音声を聞いて、
定期的に軌道修正ができると理想的です。

英語学習の定説として
「意味の分からない英文のリスニングは意味が無い」
というものがありますが、
このプロソディーの学習に関する目的に限って言えば、
意味の分からない英語でもネイティブ向けの英語音声ならば、
聞いてマネするだけでも効果があります。

メインの学習項目にまでする必要はありませんが、
「英語の音ってどんな感じだったっけ?」
というのを忘れかけるごとに、
ちょっとずつやり直していく感覚で取り組んでみてください。

ちなみに、既に映画やドラマを使って学習できるレベルの人は、
普段の学習にそれらのリスニングを取り入れてもらえれば、
このトレーニングを別個にやる必要はありません。

これは、あくまでも、まだそれらを理解しきれない段階の人にも、
英語圏で英語に囲まれながら英語を学ぶ時に得られるような、
プロソディを学ぶとっかかりを得てもらうためのステップです。

2. 発音の基礎、「音節・音素の発音・フォニックス・音の変化」についてまだ学んでいない場合は、まずこれらを先に学ぶ。

これまでの「逆転英語ガイド」の記事、


でご紹介した、「音節・音素の発音・フォニックス・音の変化」について、
まだ学んでいない場合は、まずそれらを優先して学びます。

その理由は、この発音の基礎がある程度できていないと、
これ以降の学習をスムーズに進めることが難しくなるからです。

これらの事項の基礎的なことは、
知識としては比較的短期間(早ければ1〜2週間ほど)で、
書籍やサイトから学ぶことができます。

また、「逆転英語ガイド」でも発音の基礎についてのレッスン記事を
近いうちに書いていきますので、
それを読んで練習してもらって学ぶ事も可能です。

(今回は、プロソディの学習の仕方についての記事ですので、
ここの部分の具体的な学び方については、また別の機会に譲ります。)

3. 「ある程度は体系的に学べる、広い範囲に共通のパターン」の中でも基本的なものから学んでいく。

発音の基礎がある程度できたら、次はプロソディの汎用的な規則を学びます。
この部分も書籍やサイトから比較的短期間で学ぶことが可能です。

ただ、このステージの内容をどれだけ深く学ぶべきかは、
音以外の英語の力がどれだけあるかによって変わってきます。

ある程度の英語の読解力(=単語・文法・解釈の総合力)が無いと、
書籍などの内容をしっかりと理解するのが難しい場合があるからです。

それに加えて、プロソディに関する良書や良サイトは、
英語で書かれているものが多いので、
その説明を理解できるくらいの読解力が必要になってきます。

ですから、また英語の読解力がおぼつかない段階の方は、

のように、プロソディについて日本語で書かれた書籍から、
自分の理解できる範囲でプロソディの予備知識を仕入れた上で、
以降のステップに進まれることをお勧めします。

(ちなみに、この書籍は「音の変化(リエゾン)」についても
かなりまとまった解説があります。)

既に英語の読解力がある程度ある方は、


のように英語で書かれた書籍や

のように英語で書かれた解説サイトを読まれた方が、
より自然なプロソディの音声をベースに解説しているので、
このレベルの学習者には向いていると思います。
(解説の詳しさに関しては、上記の和書も引けを取らないのですが。)

2つの洋書の間で選ぶとなると難しいのですが、
前者のAmerican Accent Trainingの第1章が、
プロソディの基本を体感的に理解できるような構成になっているので、
プロソディの学習という点ではそちらの方がオススメです。
(全体的な情報量やバランスは後者の方がよいのですが。)

とにかく、いずれの情報源を使うにせよ、
プロソディの原則的なものを事前に学習しておき、
これ以降のプロソディの事項の学習を
スムーズに進められるようにしておくことが重要です。


ここから先のステップは、後のものほど難しくなりますが、
いずれも長期に渡って地道に学習していくものですので、
順番に進めていくというよりはむしろ、
日々の学習に織り込んで並行的に進めていくものとお考えください。

4.単語ごとのアクセントやフレーズ・構文ごとのプロソディを確認する。

これは、アプローチ別のプロソディのタイプの所で触れた
「単語・フレーズ・構文を学ぶつど覚えていく個別のパターン」
の学習です。

個別のパターンとは、見出しにあるように

  • 単語ならば、アクセント(ストレス)の位置や単語を発音するリズム。
  • フレーズや構文ならば、それらを言う際の特有のプロソディ。

のことです。

このステップでは、単語や文法の事前知識がどれくらいあるかによって
学習の取り組み方が変わってきます。

学び初め(直し)たばかりの方や、
まだ単語や文法をかなり学習していく必要のある方は、
それらの項目の意味や内容を学習するのと並行して、
正しいプロソディを身につけていくようにしていくと、
後からこの部分だけやり直さなくてもよくなりますし、
変な癖もつきにくくなりますのでお勧めです。

もう既にかなりの単語や文法の知識がある方は、
多少面倒くさいかもしれませんが、
音の部分だけをまとめて復習して、
自分が思っている発音・プロソディと合ってるかを
確認していくことになります。

その際に参考の音源として使うのは、

  • 単語の場合は、単語帳のCD・電子辞書・オンライン辞書の発音など。
  • フレーズや構文は、音声のある文法書の発音。

など、普通の教材のもので結構です。
単語は、学習途中の人は辞書中心に、
音だけ復習の人は単語帳を活用して学んだ方が効率がよいかもしれません。

オンラインの辞書でオススメなのは、発音に簡単にアクセスできて、
発音記号もIPAで確認できる英英辞書の


の2つです。
英和辞書が必要な場合は、定番の

で十分だと思います。

文法書だと、こちらも定番のForestの音声が

から無料でスクリプトも一緒にダウンロードできてかなり使えます。
(もちろん、お使いの他の文法書に対応してるCDの音声でも結構です。)

上のような辞書・単語帳・文法書ではなく、
既に音源のある他の教材で勉強している人は、
それらをベースに学んでいくという形でももちろん構いません。

学習用教材の音源でプロソディを学ぶ問題点とその対策

一般的な学習用教材の音源は、話し方が少しオーバーになり気味なので、
最終的な理想のモデルにするのは、実はあまりお勧めできません。

しかし、現段階では他に良い代替手段がありませんし、
傾向をつかむのには十分な上に、後からの調整も可能なので、
学習を始める際のとっかかりのモデル音声としては十分だと思います。

ここで、ステップ1の「サブリミナル的にプロソディの感覚をつかむ」
をやった経験が活きてきます。
そちらで得た感覚的なモデルを常に頭の片隅に置きながら、
最終的にはそちらの方向に持っていくという気持ちで
学習を進めていってください。

(将来的には、この学習段階から自然な発音で学べるような教材を
「逆転英語ガイド」で作っていきたいと思っています。)

可能ならば、短い文を発音した時のプロソディがどんな感じかを、
時々でもよいのでネイティブスピーカー
または日本人の発音トレーナーにチェックしてもらい、
必要に応じて修正してもらった方がよいと思います。
(発音の指導が信頼できると思える方を見つけられたのなら、
もちろん国籍は関係なくその方から教わるのが一番ですが。)

完全に独学で進め続けてしまうと、
自分では中々気づかないクセを持ち続けるということもありえますので、
軌道修正をする機会が得られるのならば、ぜひ受けた方がよいと思います。

5. 文内の意味の区切るためのプロソディを学ぶ。

絵本を読むのを楽しんでいる家族

これは、プロソディの役割で言うところの
「文の中での意味の区切りを表す」部分の学習になります。
また見方を変えると、基本的な音読ができるようにするための学習でもあります。

このステージの学習をするためには、
ある程度の単語と文法と文解釈の方法を学んで、
易しめの英文で構いませんので、
意味を語順で理解できるようにはなっておく必要があります。

あと、先ほどのステップでフレーズや構文のプロソディも
単純な構造の文章だったら意味も分かる上に、
きちんとしたプロソディを付けて読めるほどには学んでおいた方がよいです。

以上のことができるようになった上で、
さらに長めでより複雑な構造の文を読めるようになりたい
という段階に入ってからこのステップの学習に取り組み始めます。

逆に言うと、そこまでの段階に至っていないのであれば、
まずは他の英語の基礎の方をまずはしっかり固めて、
発音やプロソディはステージ4までの学習を行って、
短めの文を会話で伝わりやすく言えるようになることを
目標にするのが得策
だと思います。

その段階に至るだけでも、会話ではかなり実用になりますし、
それができるようになってから
これ以降のステージを学ぶのでも遅くはありません。

プロソディを学ぶための音読の素材に使えるサイトの紹介

さて、このステージの学習の前提の説明が終わったところで、
本題の学習の内容の説明に入ります。

学習の素材は、(できるだけネイティブに近い)音源のある、
自分が理解できてかつ興味の持てる文章を使います。
それを聞きながらマネをするように音読するのが、
ここのステージの主なトレーニングとなります。

オンラインで無料で使える音読付きの文章で、
基礎がようやくできてきた頃の学習者でも理解できて、
そこそこ内容も意味がありそうな記事が見つかるサイトとしては、


の2つをオススメしたいと思います。

「NHK ニュースで英会話」は日本でも話題になったニュースを
易しめかつ短めの英文で書かれた記事を
「通常・速い・TV音声(さらに速い)」の3段階のスピードで
読み上げられた音声を聞きながら読むことができます。
(音声を聞くには、無料ですが会員登録が必要です。)

普通に日本のニュースを見ている人なら
なじみのある話題の上に、和訳まで付いていて、
しかも重要ボキャブラリーにマウスカーソルを合わせると
その単語の意味と発音が分かるようになるという、
いたれりつくせりぶりです。
音読の学習に集中できるという意味では、
かなり最高に近い環境と言えます。

ただ「通常」と「速い」のナレーターのバリエーションが少ないのと、
読み上げ方がまだ若干無機質(新幹線のアナウンスのような感じ)なため、
英文が問題なく読解できるようになったら、
他に紹介するサイトの素材にも挑戦した方がよいかもしれません。

「VOA (Voice Of America) Learning English」は、
英語の学習者用に約1500語の制限された語彙を使って、
国際ニュースの記事とその読み上げの音声を公開しているサイトです。
(こちらは会員登録不要で利用できます。)

和訳こそないものの、基本的な単語しか使われていませんし、
単語をクリックすると英英辞書(Merriam-Webster)による
意味の説明と発音を知ることができます。
また、その記事の中で使われた難しめの単語は、
記事の後に”Words in This Story”として
まとめて意味を載せてくれていますので、
英英辞典が引けるレベルの人であれば単語は問題ないと思います。

文章は「NHKニュースで英会話」より長めで、
構造もやや複雑なものも多く、
トピックも海外の話題がほとんどですので、
理解するのは断然に難しくはなっていますが、
基本的な読解ができれば読める程度の難しさに収まっていますので、
英語の基礎ができている人にとっては、
読解の練習も兼ねることができて、逆に好都合とも言えます。

ナレーションは1つの記事につき1つなので、
好みの速度で聞くということはできないのですが、
サイト全体のナレーターの数は多いので、
好みのナレーターの記事を読むという形にした方がよいかもしれません。

全体的に速度はそんなに早くはない
(「NHK ニュースで英会話」よりも遅い場合もあるくらい)ものの
意味の区切りをしっかりつけて読んでくれているので、
このステージの学習目標の点から見てみると
かなり良い読み方となっていると思います。

ここまでご紹介したサイトの英語は余裕で読めるので、
物足りないという中〜上級者の方は、もう定番になりつつありますが、

というサイト(とそのアプリ)がオススメです。
英語の人気ニュースサイトの記事やブログの良記事を
ネイティブのナレーターが音読してくれたものを聞けるという、
中〜上級者にとっては最良の教材です。
(私もほぼ毎日聞いています。)

音声が早過ぎる場合は、0.5倍速にもできますし、
その際は多少の音の歪みはあるものの、
プロソディは許容できる範囲内で保たれているので、
ゆっくりの速度でもプロソディの学習は可能です。

ナレーターは、レベルの高い人が揃っているので、
朗読のプロソディとしては全く問題ないです。

ただ聞いて理解しやすい朗読のためのプロソディと
普段の会話のプロソディは、やはり少し違いますので、
後者に近いものを求める場合はナレーターを選ぶ必要があります。
(また機会がありましたら、そのような点も考慮した、
Umanoのナレーターの紹介記事を書いてみたいと思います。)

このステージの学習目標の達成には、朗読的なプロソディでよいので、
ナレーターの選択はそれほど重要ではありませんので、
自分が目指したいと感じる話し方をしてるナレーターを選んで、
その人の朗読を使ってトレーニングしていけばよいと思います。

音読に慣れていない方向けの学習の仕方。

マウンテンバイクで走っている少年

さて、オススメの音読用サイトの紹介が終わったところで、
これらを使ったより具体的な学習の仕方を解説したいと思います。

この学習は、音読する能力のレベルによって、
やり方を変えた方が効果的です。
まずは音読に慣れていない方向けのやり方から始めます。

詳細な説明の前に、この方法の全体的なイメージを説明すると、
子供の頃に親や他の誰かと一緒に本を朗読して、
ちょっと読み方がおかしくなるたびに直してもらうのを
擬似的に一人二役でやりながら学習するというものです。

そのイメージを頭に入れながら以下の説明を読んでもらえればと思います。

まず、自分のレベルにあった記事を選びます。
その文章の中の、1~2文から1パラグラフあたりを1単位として取り組みます。
その単位ごとに次のようなステップで、
少しずつ文の意味の解釈と音声の流れをヒモ付けていきます。

  1. 英文をまずは音声だけ聞いて、それだけで理解できるか試みる。
  2. 文章を読んで意味を確認する。(分からなければ調べて理解する。)
  3. もう一度音声を聞いて、2で得た意味が音声から取れるか確認する。
  4. 音声の間の取り方や強調した部分に気を配りながら聞いて、
    意味の区切りの目安を付ける。(マークをつけてもいい。)
  5. もう一度文章に戻り、その区切り方で意味の固まりができるか確認する。
  6. その区切りを意識しながら、モデル音声を真似るように音読する。
  7. モデル音声との違いを感じたら、その部分をマークしておく。
  8. その場で違いの原因が分かったら、それをメモした上で
    読み方に修正を加えてもう一度真似するように音読する。
  9. 原因が分からなければその部分を一旦メモしておいて、
    後日、自分で見直したり誰かに指導を仰ぐときの例文としてとっておく。
  10. 一つの単位が終わったら、次の単位に移って1~9を繰り返す。

と大体このように学習していきます。

このやり方は、一つの文章に相当の時間と労力をかけて学習しますので、
かなり疲れると思いますが、
プロソディに気を配った音読に慣れていないうちは、
これくらいしないと基盤ができてきませんので、
量より質を重視して取り組んでみてください。
(=一つの記事を最後まで読まなくてもいいということです。)

ただここまで集中した学習は、毎日はしなくても構いません。
忙しい時は既に学習済みの文章を使って、
プロソディの練習のためだけの音読をするというもアリです。
また、気分転換としてプロソディはそこまで気にせず、
できるだけ聞こえるように音読する程度のトレーニングに留めて、
自分の好きな文章をとにかく読むというのも良いと思います。

その辺りのバランスは各自のモチベーションと相談して、
長続きするような配分でやっていただければと思います。

音読がある程度できるようになった方向けの学習の仕方。

熟練した自転車のロードレーサー達

そして次は、音読がある程度できるようになった方向けのやり方です。

今度は、使う文章の単位を、自分が1~2分位で読める分量、
つまり約300〜500語(約3パラグラフ)ぐらいに増やします。
その単位ごとに次のようなステップで、
自分の音読とナレーターの音声のプロソディとの違いを探ります。

  1. まずは音声を聞かず、自分なりに解釈しながら音読してみる。
    (できれば録音もしておく。)
  2. 読みながら意味がすぐに取れなかった所や、
    発音・プロソディの仕方が分からなかった所はチェックして、適宜調べる。
  3. 2でチェックした部分を意識しながら、今度はナレーター音声と一緒に読む。
  4. 違いを感じたところをマーク。
  5. 違いの原因を考えながら、ナレーターのプロソディに近づけるようにして
    もう2〜3回一緒に読んでみる。
  6. どうしても一緒にならない部分をメモして、次に進む。
  7. 6でマークした部分は、後日解決するか、誰かに教えてもらう。

上級者になってくると、イントネーションの付け方はほぼ問題なくなるので、
ステップ5で違いの原因を探るのは主に、
間の取り方などのリズムの違いになってきます。
思わぬ所で間を取ったり、切るべきと思った所を続けて読まれたりと、
意外な発見が続くと思いますので、そういった発見を積み重ねて、
より自然なプロソディを身につけることを目指してください。


初級者でも上級者でも、ある程度疑問点がたまってきて、
自分なりにこれ以上は改善できないというくらい練習をしたら、
ネイティブに指導を仰いで、チェックしてもらうと最適です。
そこまでやった上で聞くネイティブのアドバイスからは、
ちょっとした一言からでも多くの気づきを得られますので。

6. トーンやニュアンスを含んだプロソディを学ぶ。

真剣なまなざしで見つめるパグ犬

さていよいよ、ご紹介する中では最後のプロソディー学習のステップです。
紹介の順番的には最後ですが、
勉強する際の順番は5と6はどちらが先ということはありません。
難易度的にも5の方がより複雑な構造の文を扱わなければいけないので、
かえって5の方が知識的には難しいステージかもしれません。
というわけで、あまり気負わずに読み進めていただければと思います。

このステージは、プロソディの中でも
「話の全体的なトーン・雰囲気を決める」
ものを中心に学んでいくことになります。

そして、肝心の学習法ですが、
プロソディの調子から、ニュアンスの違いを感じとれるようになるには、
とにかくネイティブ向けの英語音源を
理解しながら聞きまくるしかありません。
(身もフタもありませんが・・・。)

朗報なのは、あまり難しいことを考えなくても、
感情のこもってる話しを内容を理解しながら
(できれば視覚も伴って)聞き続ければ、
擬似的ではあるものの会話の経験値がたまり、
大体どんなニュアンスで言ってるかが分かるようになりますし、
その感覚を覚えておけば自分でも使えるようになることです。

この学習に使う素材は、話す人の表情が見える映像付きのものがよいです。
説明調のものと会話帳のものに分けて具体例をあげると、

  • 説明調 → TED、(CNNなどの)ニュース番組。
  • 会話帳 → 映画、ドラマ。

などがやはり定番です。

(TEDを知らない方のために簡単に説明いたしますと、
オリジナルのメッセージと独特な展開の仕方を併せもつ
選りすぐりのハイレベルのプレゼンの動画を
全てのスクリプト(台詞)付きで見ることができるサイトです。)

リスニングだけで意味を理解する自信の無い内は、
字幕やスクリプトの手に入りやすい、
TEDと映画がそれぞれのオススメです。

聞くだけで意味が分かるくらいのレベルになった方は、
自分の興味の赴くままに好きなものを使ってください。

どちらにせよ、

でいうところの「発展」ステージにあたるトレーニングの一つである
「ネイティブ向けコンテンツを使ったリスニング」
の学習と同時に進めていくのがよいでしょう。

リアルタイムの英文解釈能力を鍛えるトレーニングをするのと一緒に
プロソディの心情的な部分の経験値も上げていける、
と一石二鳥の効果が得られるので効率がよいと思います。

とは言っても、やはり一番良いのは、
実際に英語話者の間の会話の輪の中に入ったり、
英語圏で寝ても覚めても英語に囲まれることではあるのですが、
国内の独学メインの学習の場合でも、上記のような方法でだいぶ補えます。

「ネイティブレベルの発音は必要ない」の本当の意味

ステップ5の「文の意味の区切りのためのプロソディ」もそうですが、
このステップもネイティブレベルの流暢さを求めると
非常に多大な時間と労力がかかります。

ですから、ある程度のレベルで理解できて使えるようになったら、
プロソディ専用の学習をするのは一旦止めて、
他のインプット・アウトプット力を強化する学習の方に力を注いで、
その学習の過程で副産物的にプロソディの自然さも徐々に上げていく、
という姿勢で学習を進めていったほうがよいでしょう。

「ネイティブレベルの発音は必要ない」というのは、
このレベルのプロソディ(と次回に紹介する発声法)にこそ相応しい言葉です。

「自分の発言を相手にストレス無く聞いてもらえて、
相手の言っていることもスムーズに聞いて理解できる。」

という段階まで行ければ、(それもまた高い水準ではありますが)
プロソディを含む発音の上達の方は、一旦少し緩めても構わないのです。

どうしても国内の学習で「ネイティブレベル」を目指したいという方には、
現段階ではあまり具体的なアドバイスはできませんが、

  • 会話・スピーチをとにかく聞きまくる。
  • 自分の音声をモデル音声と比較して自己分析する。
  • 自然なリズム・スピードで話すのに必要な「筋力」を鍛える。

のようなトレーニングを地道に続けることが、
最低限必要になってくることだけは申しておきたいと思います。

まとめ

黒板に描かれた電球

英語のプロソディ(リズム・ストレス・イントネーション)についての解説も
ここで一旦区切りを入れたいと思いますが、いかかでしたでしょうか?

プロソディが英語のコミュニケーションの上で果す具体的な4つの役割

  1. 言いたい単語が何かをハッキリさせる。
  2. 文の中で強調したい部分を表す。
  3. 文の中での意味の区切りを表す。
  4. 話の全体的なトーン・雰囲気を決める。

を見ていただいて、プロソディの英語における重要性を
大まかではありますが感じていただけたのではないかと思います。

プロソディの学び方は

  • プロソディのどの部分を学ぶのか?
  • 今までどのように英語を学んできたのか?
  • 今、生の英語に触れられる機会はどれほどあるのか?

などの要因により変化するので、統一した説明は中々難しいですが、
この記事でもご紹介したように、

  1. サブリミナル的にネイティブ英語のプロソディーの大まかな感覚をつかむ。
  2. 発音の基礎についてまだ学んでいない場合は、まずこれらを先に学ぶ。
  3. 「体系的に学べる、広い範囲に共通のパターン」の基本的なものから学んでいく。
  4. 単語ごとのアクセントやフレーズ・構文ごとのプロソディを確認する。
  5. 文内の意味の区切るためのプロソディを学ぶ。(音読)
  6. トーンやニュアンスを含んだプロソディを学ぶ。(映画等の視聴)

のような学習の流れが一つの参考になるのではないかと思います。

プロソディの学習は、他の英語の発音の基礎も必要ですし、
修得するのは一朝一夕というわけにはいかないですが、
他の分野の学習をする時にも意識をすることで
並行的に学習してじっくりと上達させることもできます。

完璧にネイティブ並になる必要は全然ありませんが、
ある程度のプロソディの感覚をつかめると、
英語を学ぶ上でも使う上でも大きな武器となりますので、
これから英語の発音を学ぶ際には、
ぜひともこのプロソディも意識して学んでいかれることをお勧めします。

それでは、また!

SHARE
最後までお読みいただきありがとうございます!
シェアやご感想をいただけると励みになります。
FOLLOW
更新情報+αの登録はこちらから
Sponsored Links