目次
NGSL (New GSL)の紹介
まず、GSL(General Service List)とは、
1920-30年代に渡り数々の研究者により開発され、
1953年に言語学者Westによりまとめて発表された
約2000語の基本英単語のリストのことです。
(詳しくは、「GSLの紹介と収録単語リスト」を参照してください。)
そして、NGSL(New General Service List)とは、
そのGSLを最新のコーパスと手法を用いて、
2013年に明治学院大学のCharles Browne教授と
青山女子短大のBrent Culligan氏とJoseph Phillips教授によって
大幅に改訂された2368語からなる現代版の基本英単語リストです。
(上記の単語の単位はいずれも word family(ワードファミリー)
という見出し語の派生語をまとめたものになっています。)
収録単語数は、word family単位ですとNGSLの方が多いですが、
lemmaという見出し語の派生語は含まず、
活用変化したもののみをまとめる単位に直すと、
GSLが3623語なのに対し、NGSLでは2818語と約800語も少なくなっています。
(ただし、この比較で使用されているlemmaは一般の定義と若干違い、
別の品詞に属している活用形も一つの見出し語にまとめています。)
NGSLの方がlemma単位だと約800語少ないのにも関わらず、
(NGSLの作成の基になった)約2.7億語のコーパスのカバー率が90.3%と
GSLの84.2%よりも約6%も上という優位性を持っています。
(ちなみにそのコーパスは、収録語数20億語のコーパスである
CEC (Cambridge English Corpus)の中から
文章タイプのバランスが均等になるように注意深く作成されました。
より詳しいコーパスの作成過程などの詳細については、
NGSLについての論文(英文)の方をご参照ください。
NAWL (New AWL)の紹介
NAWL (New Academic Word List)は、
オリジナルのAWL (Academic Word List)とGSLの関係と同じく、
NGSLの単語を学んだ後に追加して学ぶことにより、
学術的文書に登場する単語をより効率よくカバーできる
(NGSLに出てくる単語を除いた)963語の単語リストです。
(単語の単位はNGSLと同様のlemma単位です。)
NGSLとNAWLの単語を合わせて覚えることにより、
学術的文書の約92%がカバーできるとされています。
(従来のGSL+AWLのセットの場合は約87%のカバー率。)
NAWLもNGSLと同じ作成メンバーにより作成されました。
基準に使ったコーパスは全体で約2.9億語の規模で、
その内訳は次のようになっています。
- CEC アカデミック (2.5億語、86.3%)
- 講義などの口頭文 (3百万語、1.1%)
- 教科書の文章 (3千6百万語、12.6%)
より詳しいコーパスの作成過程やNAWL収録単語の選定基準は、
NAWLの公式サイトをご参照ください。
NGSLとNAWLに対する所感(GSL/AWLとの比較)
NGSLとNAWLの単語のリストの中身を見てまず感じるのは、
NAWLにはAWLにあったaccessやareaなどのように
日常的にも頻繁に使われる単語はほとんど無くなっており、
教科書などで見かける率が格段に高い単語や
専門用語に近いような単語の割合が高くなったことです。
AWLにあった日常的にも使われるような単語は、NGSLに移っています。
つまり、AWLが果たしていたGSLの時代の古さを補完する
新しめの基本単語リストとしての役割を
NAWLは果たさなくてもよくなっていて、
純粋に学問的・知的な単語のリストという
その本来意図されている形に近づいているということです。
これで、基本的な会話や英語学習の基礎のための単語学習は、
まずNGSLの単語に集中すればよくなり、
学業(TOEFLや大学受験などの試験を含む)的な目的で
英語を使う場合には、追加でNAWLを学んでいけばよい
という形になったと思います。
ただ、ビジネス上の用途(TOEICも含む)や
特定の専門分野の文献だけを読めればいい等の特化した用途には、
NAWLは他の専門の用語も入りすぎていて、
必要以上の量の学習を強いられる印象も受けました。
本当にどの分野にも必要なコア単語は
NAWLに収録されている963単語(lemma単位)より
ずっと少なくても済むと思われます。
NGSLとNAWLは、今も他の言語学者や教育者などからも意見を募り、
さらに改善していく意向を示していますので、
今後の進展に期待したいところです。
NGSLとNAWLの収録単語リスト
上記のリンク先のファイルはどちらも.xlsxファイルです。
新しめのMicrosoft Excelをお持ちでない方は、
無料のLibreOffice (Windows, Mac OSX, Linux用あり)でも
問題なく見られますので、ご活用ください。
(Macの方はiWorksのNumberでも閲覧可能です。)
その他の形式のリストもNGSLの公式ページ(英文)にて、
ダウンロード可能となっています。
リンク先のページと左側のサイドバーの
“+NGSL DOWNLOAD”の項目が利用できます。
iPhoneアプリ
上記のiPhoneアプリはNGSLの開発者の一人の
Charles Browne氏の経営する企業が開発&提供する公式アプリです。
(2015年2月1日現在においては、両者とも価格は無料、
iOS 7.0以上に対応となっています。)