発音から英語の勉強を絶対に始めるべき5つの理由

英語学習の初期には発音が重要ということが、
最近ようやく、英語を学ぶ人の間で認知されてきました。
それでもまだ、全ての人が発音から学び始めているわけではありません。

それはなぜでしょうか?

  • 「上級者がよりネイティブっぽく話す時にだけ必要なんじゃ?」
  • 「自分は読み書きだけできればいいから、発音は必要ないよ。」
  • 「勉強してみたいけど、独学できなさそうなので金銭的に無理。」

など様々な理由が聞かれます。

しかし、これらの理由の大半は、間違った思い込みが元になっています。

今回は、これから英語を学び始めよう、
あるいは学び直そうと思われている方に、
絶対に英語の発音の勉強から始めた方がよいと納得していただくために、
発音から学び始めるべき5つの理由として、

  • 成長をすぐに感じられるので、モチベーションが上がる。
  • 他の基礎項目の学習にもほぼ不可欠。
  • 「話す・聞く」だけでなく「読む・書く」際にも重要。
  • 後から学ぶと、それまでに覚えた音を修正するのが大変。
  • 「基礎」の次の学習ステージに実質的に進めない。

を一つずつ取り上げてていきたい思います。

成長をすぐに感じられるので、モチベーションが上がる。

「発音の学習は難しい」

というイメージをお持ちの方は多いと思います。
確かに「英語の発音を極めて、ネイティブ並の発音にする」
ということが目標でしたら、相当の訓練とセンスが必要になると思います。

しかし、「英語の発音を学び始める際に気にかけるべき3つのポイント」
でもご紹介したように、
英語学習をスムーズに効率的に進めるための発音の基礎なら、
短期間(1週間〜2ヶ月)で習得が可能です。

しかも文法や単語と違い、予備知識がほとんどいらないため、
初学者でもすぐに発音だけの勉強に
音楽やスポーツのレッスン感覚で取りくめるので、
とても学び始めやすいのも特徴です。

また、この基礎的な発音を学ぶだけでも、
だいぶ自然で聞き取りやすい発音に変わりますし、
ネイティブの英語の発音も聞き取りやすくなるので、
実感できるほどの大きな成長感を得られると思います。

そしてやはり、発音が良くなると、
文法・単語・フレーズなどの知識がそれほど無い段階でも、
英語が上手くなった気分を味わえますので、
自信とモチベーションが断然上がってきます

本当は、発音「だけ」ではダメですが、
学び始めに挫折しないようにするためには、
この早い成長感によるモチベーションアップが貴重なので、
それだけでも発音から学び始める意義があります。

このモチベーション向上の効果は、学び直しや中級以上の人にもあります。
今まで得た文法・単語・フレーズの知識が、
正しい発音を知識と実践の両面から習得することで一気に活きてきて、
英語力の底上げ感を味わえます。

それによって、
「もしかしたら自分の英語力はこれからも相当上げられるかも?」
という気持ちを持てれば、後の学習も一気にスムーズになるので、
初学者の方以外でも、このモチベーション効果は重要です。

他の基礎項目の学習にもほぼ不可欠。

「発音は、スピーキングをしたい人にだけ必要なもの」

こういう誤解が、未だに残っているようですが、
これは明らかな間違いです。

発音の学習がリスニング力の向上に不可欠なのは有名な話ですし、
実はリーディングやライティングの際にも重要です。

それ以前に、文法・単語・フレーズの学習という、
基礎中の基礎とも言える学習ですら、
ある程度の発音の習得がほぼ必須です。

「ほぼ」としたのは、実用的な英語の習得を目指しているのでなければ、
発音抜きの学習も一応可能だからです。
ただ、そのような学習で意味があるのは、
大学受験や時間をどれだけ使ってもいい読み書きくらいです。

TOEIC(またはそれより難しい試験)で中級以上のスコアを狙っていたり、
仕事や学業で時間に追われる中で英語を使いたいと思われているのなら、
やはり発音の学習は、それらの「基礎」の学習に絶対必要になります。

発音は文法・単語・フレーズの記憶の「鍵」になる。

なぜ発音の習得が、文法・単語・フレーズの学習にも必要かというと、
それらの記憶に「音」が重要な鍵の一つとなるからです。

分かりやすさのために、単語に絞って説明しますと、
単語を記憶するためには、少なくとも次の4つを
脳内でリンクする必要があります。

  • スペル
  • (品詞毎の)意味のコアイメージ
  • どの文脈・用法で使われるかという情報(例文など)

特に最初の3つが重要で、これらをお互いに絡み合わせ記憶することにより、
単語を長期記憶できるようになります。
(詳しくは「英単語を使える形で覚えるための脳への刻み方」を。)

皆さんも、学校などで正しい発音を学んでいなかったとしても、
単語を覚える際には、何らかの自分なりの音をあてて覚えていたはずです。
これは脳の習性により、単語を覚えるのに音との関連付けが必須だからです。

正しい発音で記憶すると、覚えやすくなる。

「単語を覚えるのに何かの音が必要ってのは分かったけど、
それなら自己流の発音でも別にいいんじゃない?」

ここまでの説明だと、そう思われても不思議ではありません。
けれど実は、正しい「発音」の知識・能力を習得していると、
記憶のプロセスが、自己流でやる際に比べて格段に楽になるのです。

発音の基礎を学ぶと、音についての記憶を省力化できる。

なぜ楽になるのかについて、もう少し掘り下げます。

単語に音を当てるにしても、何の規則性も無いランダムな音は、
単語を覚える以前にその音の方を忘れてしまいます。

よく音が分かってない言語の国の、長い人名って覚えられませんよね?
例えば、こんなタイの人の名前とか。

「ポーンファジョング・ラープラタナポーン」
「サオヴァポーン・ソッピットゥヴティウォング」
via 長すぎるタイ人の名前

同様に、自分の中で発音の規則性が理解できていない言語の音は、
覚えるのが非常に大変
です。
スペルと意味イメージを覚えるだけでも大変なのに、
音の記憶にも労力を使っていたら、学習がはかどるわけがありません。

この労力を省くために、

  • 全ての音素を把握して、その発音記号との対応を学ぶ。
  • フォニックスでスペリングと音素の関係を学ぶ。
  • 音節・拍の概念を知って、音の区切りの単位を理解する。

などの発音の基礎を先に少しだけ苦労して身につけるわけです。

1番目で曖昧な音とはおさらばできますし、
2番目でスペリングと音の記憶を補完しあうための方法が身につくので、
さらに単語の記憶が楽になりますし、
3番目で覚えるべき音の単位の数を激減できます。
(例えば、”strength”という単語を
片仮名の「ストレングス」で覚えようとすると6拍ですが、
英語の音節そのままだと1音節です。)

このように、「発音」の基礎で学ぶ様々な項目が、
単語などの音を覚えるプロセスを省力化してくれるので、
正しい「発音」を学んでから、単語・文法・フレーズなどの
他の基礎項目を覚えようとすると楽になるのです。

「話す・聞く」だけでなく「読む・書く」際にも重要。

当然ですが、正しい発音で単語などを学んでおけば、
それらを「話す・聞く」際にはそのまま使えます。
つまり、基礎の学習と実践の間に差異が生じません。

これを自己流の発音で覚えてしまうと、
話す時は相手に分かってもらうのに苦労しますし、
聞く時は余分な音声の変換ステップを頭の中で踏むために、
よほど短い言葉か、ゆっくり間を取りながら話してもらわないと、
脳内の処理が追いつかずに聞き取れなくなります。

このように「話す・聞く」際の発音の重要性は明らかですが、
「読む・書く」時にも発音が重要というのはあまり知られていません。

実は、読む際に文章の意味を最も早く解析する手段は、
『どう「音読」したら自然な英語に聞こえるだろうか?』
ということを基準にすることだったりします。

ですから、しっかりした「発音」をベースにした
単語・文法・フレーズ等の基礎の学習ができていないと、
この直感的なテクニックが使えず、
頭の中で複雑な文章解析を常に行う必要があるので、
読むスピードと正確さの両方で伸び悩んでしまいます。

書く際にも、

「どの位までの複雑さの文だったら、すんなり音読してもらえるか?」

という似たような基準があり、
これを意識しないと、文法的には間違っていないけれど、
機械のために書いたような読みにくい文章になります。

英語の音の学習は、書く際の他の点でも重要です。
自分の伝えたい内容にふさわしい表現を探す場合、
書く時は話す時よりもさらにピッタリの表現が求められるので、
記憶の奥底からその表現を掘り起こしてくる必要があります。

その場合、音による記憶というのは強力で、
「こんな状況の時にこんな感じの音の
単語やフレーズが使われていた気がするな。」

くらいの曖昧な記憶として残っていることがよくあるのです。

そのアバウトな記憶を元に、辞書を使って単語・表現を探し出し、
その意味や用法が合ってるか等を確認して書き進めていくことは、
使える表現の幅を増やしてく上でも欠かせないプロセスです。

このように、「話す・聞く」場合だけでなく「読む・書く」場合にも、
音をそのまま実用できる形で覚えておくことは重要なので、
最初から正しい音で学ぶメリットは計りしれません。

後から学ぶと、それまでに覚えた音を修正するのが大変。

単語やフレーズを覚える時に、ちゃんとした発音ではなく、
仮の音として日本風な発音や自己流の発音で覚えてしまうと、
ある程度までは英語の学習に支障は無くても、
今まで述べてきたような理由で、
最終的には適切な音に置き換える必要が出てきます。

言うだけならば簡単ですが、この
「単語やフレーズと一度関連付けた音を別の音に置き換える」
という作業はとても面倒です。
新しい単語に音を関連付ける時よりも体感的に3倍以上は大変です。

なぜなら、新しい音を関連づける前に、
以前に関連づけた音を記憶から取り除かなくてはいけないからです。
実際には取り除くというより、新しい音をひたすら繰り返し関連づけて、
古い音の方を追い出したり上書きしていくようなイメージです。

また、モチベーション的にも問題です。
新しい単語を覚える時は、未知のものを知る喜びで、
その発音についてもある程度の興味を持って調べられますが、
既知の単語の発音を調べ直すのは億劫になります。

この

  • 以前に覚えた音を上書きして覚えないといけない。
  • 既に知っていることを、音だけ覚え直すのでモチベが湧きにくい。

2点が主な原因で、後から正しい発音を学び直すのは面倒なのです。

ですから、英語を学び始めた時や、学び直しの時には、
単語・フレーズなどの新しい表現をまとめて覚える前に、
まずは「発音」の基礎をしっかり学んでおくと、
非常に効率良く学習を進められます。

「基礎」の次の学習ステージに実質的に進めない。

正しい「発音」で基礎固めをしていないと、
「基礎」の次に待っている、楽しみながら学べるステージに進めません。
(「逆転英語ガイド」でいうところの
「3つの学習ステージ」の2番目の「発展」ステージのことです。)

そのステージの中の学習メニューの

  • 音読・シャドーイング・リピーティング
  • 映画・ドラマ・Web動画などを使ったリスニング

の2種類が、特に大きな影響を受けます。
それ以外にも、

  • オンライン英会話(特にネイティブ講師との)
  • 多読

あたりも、学習ができなくはないものの、
相当の悪影響を受ける項目です。

また、上でも説明したように、
「読む・書く・聞く・話す」の全てにおいて、
「発音」の内容は影響を与えるので、
他の学習項目についても、間接的に学習効率を低下させます。

このように、正しい発音を身につけることは、
英語学習のロードマップの中でも
一番自由に安価に楽しみながら英語を習得できる
「発展」ステージの学習を有効に進めるための必要条件ですので、
英語の基礎固めの内に学んでおくことが重要となります。

まとめ

さて、だいぶ長くなってしまいましたが、
発音を英語学習の最初から絶対に学ぶべき
お勧めする5つの理由をまとめます。

  • 成長をすぐに感じられるので、モチベーションが上がる。
  • 単語などの他の基礎項目の学習にもほぼ不可欠。
  • 「話す・聞く」だけでなく「読む・書く」際にも重要。
  • 後から学ぶと、それまでに覚えた音を修正するのが大変。
  • 「基礎」の次の学習ステージに実質的に進めない。

このどれか一つでも大きな理由だと思いますが、
これだけ揃うと、逆に発音から学び始めない理由を探す方が
難しいのではないでしょうか?

やや独学しにくいところが唯一の難点かもしれませんが、
これからしばらくの間「逆転英語ガイド」で集中的に展開する
発音レッスンの記事ではその点も考慮しながら進める予定ですので、
その最後の問題も少しずつ解決していけると思います。
今後の展開にどうぞご期待ください。

それでは、また!

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