英語のフレーズ学習は英語の基礎と実用英語を繋ぐ架け橋

「逆転英語ガイド」の考える英語の基礎には、4本の柱があります。
今までの記事で、発音・文法・単語について触れてきましたが、
今回はその最後の柱となる「フレーズ」の学習についてお話しします。

「発音・文法・単語」が英語の基礎中の基礎とすると、
英語の「フレーズ」の学習は、それら3つの基礎と
実用的な英語をスムーズに繋ぐ架け橋のようなステップです。

そこで今回は、英語の基礎学習の最後のエッセンスとなる
英語の「フレーズ」とはそもそも一体何なのか、
そしてこのフレーズ学習が英語の学習や使用に
どのような恩恵をもたらすのか、
などについて解説していきたいと思います。

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フレーズとはそもそも何?

そもそも、英語の「フレーズ」とは何なのでしょうか?

文法用語の「句」も英語ではフレーズ(phrase)と呼ばれているので、
ここで説明しようとしてる「フレーズ」と混同しがちになります。
混乱を避けるために、あえて「フレーズ」を定義してみますと、

「よく使われる定型(テンプレ)的な言葉の固まり(パッケージ)」

という表現で表せます。(あくまで当サイト独自の定義ですが、
おそらく、上記の文法的な「句」を意識していない英語学習者が
フレーズという言葉を聞いたときに思い浮かべるものに近いはずです。)

さて、この定義での「フレーズ」ではまだまだ漠然としているので、
もう少し細かく分類して詳しく説明していきたいと思います。

英語教育における正式な分類というわけではありませんが、
「逆転英語ガイド」においては、フレーズ学習の助けになるように、
これらのフレーズを大きく4つのタイプに分類します。

4つの英語フレーズのタイプ

それでは、英語のフレーズを大きく4つのタイプに分けると、
どのようになるのかいくつかの具体例と共に見ていきたいと思います。

見出し部分にそれぞれのタイプの例となるフレーズを並べて、
続いてそのタイプを簡単に説明していきます。

1) good morning / see you / no problem

挨拶レベルで定型化していて、文法はほとんど関係ないフレーズ。
文法のことを全く知りも考えもしないでも使えるような表現。
とにかく難しいことはあまり考えず、
学んで使って覚えていくというタイプのフレーズです。
簡単に覚えられる割には、実用性が高いものが多いです。

2) glad to hear it / I guess (that) 〜

単語の用法や文法を知っていれば意味は導き出せるものの、
あまりにもその単語のコンビネーションでよく使われるので、
定型句として覚えてしまった方がよいようなフレーズ。

1番目のタイプのフレーズと違い、
他の節や句と組み合わせて使ったりもするので、
丸覚えではなく単語や文法の知識も伴っていないと、
使うことはもちろん覚えること自体が難しいのも特徴です。

例に出したフレーズとは少し毛並みが違いますが、
“look up” や “come up with”などの
句動詞 (phrasal verb)もこのカテゴリとみなしていいです。

3) as far as I’m concerned / with all due respect

挨拶などとは違うけれども、ほぼ単独で定型句として使われ、
主に話の流れを繋いでいくためにあるフレーズ。

スピーチ・プレゼン・講義のように
長く、構造的で、知的な話をする(または文を書く)ために
欠かせないのがこのタイプに属するフレーズです。
(ビジネスメールなどでも良く使われます。)

これも最初に挙げた挨拶的なフレーズと同様に、
使う際には文法のことはほぼ考えないで使えます。
ただし、長めな上に難しめの単語が使われているので、
文法・単語の知識がないと意味を覚えておくのが難しいのが、
それらの簡単なフレーズとは違うところです。

4) make ends meet / once in a blue moon

いわゆる「イディオム(idiom)」と呼ばれるフレーズ。

使われている単語や文法からだけでは意味が推測しにくく、
由来となる背景も知ってはじめて意味が分かるような表現。
(ことわざなどもここに分類されます。)

英語の習い始めでは必ずしも知っておく必要はないものの、
よく使われる表現もかなりあるので、
中級以降では避けては通れないタイプのフレーズです。


と、以上のように4つのタイプにフレーズを分類してみました。
この中で英語学習の基礎ステージから学んでおくべきなのは、
主にはじめの2つのタイプに属するフレーズです。

3番目の話しを繋ぐためのフレーズ・表現も
簡単で実用性の高い一部のものは学んでいった方がよいです。

英語を学ぶ上でフレーズ学習が与えるメリット

さて、このような英語のフレーズを
英語学習の「基礎」の段階から学び始めるメリットとは何でしょうか?

色々なものが考えられますが、
ここでは主な次の3つ、

  • 初期の英語学習に必要な成長感を比較的楽に味わえる。
  • 単語や文法がパッケージ化されてるので英語の処理が楽になる。
  • 会話や文章に自然な流れを作れるようになる。

を取り上げて、一つずつ解説していきたいと思います。

初期の英語学習に必要な成長感を比較的楽に味わえる。

フレーズを覚える学習というのは、
かける労力の割に得られる成長感という視点で考えると
非常にコスパの高い勉強だと言えます。

まず、フレーズを一つ覚えるのは、
基礎単語を一つ覚えるよりも実ははるかに楽
です。
なぜなら、意味・用法がほぼ一つに限定されているので
記憶のリンクの作り方の工夫に頭を使う必要がないからです。

フレーズによっては 「thank you = ありがとう」などのように
日本語訳そのままで覚えてしまっても大丈夫なものすらあります。
(当然、そういうフレーズはさらに覚えやすいです。)

そして、これだけ簡単に覚えられる割には実用性が高いです。
単語は、意味を覚えた後も使いこなせるようになるまでに
何度も使う練習や経験がいりますが、
フレーズはそれをそのまま言えば用が足りますので
覚えたらすぐに使えてしまいます。

例えば、excuse という単語の意味をしっかり把握するのは大変ですが、
「excuse me = すいません。(軽く)ごめんなさい。」
と覚えて使うのはとても簡単で、
しかもかなり多くの場面で使うことができます。
(人を呼びとめる時や、軽くぶつかって謝る時など。)

この簡単な割に成長感を味わえることが、
英語学習の初期のモチベーション向上には大いに効くので、
心理的に挫折しがちな「基礎」ステージでは、
フレーズ学習のこのメリットが特に重要になってきます。

単語や文法がパッケージ化されているので英語の処理が楽になる。

英語を使う際にあまり意識されないことかもしれませんが、
単語や文法の知識だけで一から文章を作るのは、かなり大変です。

その点、フレーズは既に正しい文法と単語の用法が
一つのパッケージとしてまとまってるわけですから、
フレーズの方を覚えてしまえば、それを使う際には、
文法や単語について細かいことはほぼ考える必要がなくなるので、
頭の中での英語の処理が楽になり、
話すのも聞くのもスムーズにこなせるようになります。

例えば、お茶が飲みたくなり、他の人からもらえるよう頼みたい時に、
もしフレーズとして「Can I have (名詞) ?」が身についていれば、
haveの後に入れるteaという名詞さえ思い出せればいいので、
「Can I have (some) tea?」とあっと言う間に言うことができます。

この文章を一から組み立てようと思うと、
まず、言いたいことにふさわしい動詞と主語の組み合わせを
探すところから始めなくてはいけません。
(haveだったらI、give (me)だったらyouのように)

次に、頼みごとだから助動詞のcanを使えばいいということと、
質問だからcanが先にきて、後はそのまま続ければいいから、
Can I have で始めてその後に tea? と続ければいいな、と続きます。

このような思考を高速で回してようやく
「Can I have (some) tea?」が出てくることになるわけです。

(この中間で、「Can I ~ ?」というフレーズから始めて、
それにあった動詞を探すというパターンもありえます。)

フレーズ化したものを使って英文を組み立てた方が
どれだけ楽かお分かりいただけたでしょうか?

英語を使う時にこのような楽をするために
よく使う定型的な表現はフレーズとして覚えておく価値があるのです。

会話や文章に自然な流れを作れるようになる。

日本の英語学習者が書く(または話す)英語の文章でありがちなのは、
一つ一つの文章としては文法的にも単語の用法的にも正しいけれど、
それらの文章を複数並べて、まとまった長い文章にしていくと、
文章間の関係がぎこちないものになり、
自然な流れのコミュニケーションのための文としては
適当なものではなくなるということです。

(英語に限りませんが、)コミュニケーションで重要なのは、
自分が書いている(あるいは言っている)ことは、
どういう意図でそのように発信しているのかということを
できるかぎり言葉でハッキリと表現して明らかにすることです。

例えば、「これから言うことは、
さっき言った事の妥当性を強めるための証拠となる具体例だ」
という意思を相手に対してハッキリさせるために
“For example,” や “For instance,” で文を始めるわけです。

また相手の話しをしっかり聞いてるよ、
という態度をしっかり伝えるために相づちとして、
right / yeah / I see / no doubt と肯定したり、
really? / no way / you’re kidding と疑問や驚きを示したりと、
様々な反応を織り交ぜることによって、会話がスムーズに運べます。

メインとなる文章をつなぐ、このような潤滑材的なフレーズを
どれだけ知っていて使いこなせるかが
単独ではぎこちない固めの文章に自然な流れをつけるための鍵です。

まとめ

さて、英語のフレーズ学習についてここまで語ってまいりましたが、
その英語学習における大切さの一端を感じていただけたでしょうか?

単に「フレーズ」と一言で言っても、
その中には挨拶のように短い決まり文句的なものから、
文の構造を作るような応用性の広いものや、
話の流れを作るための定型文的なものまで
様々な種類のものがあることもご理解いただけたと思います。

その種類の幅広さゆえに、英語の初学者は学ばなくてもよいもの
(たとえばイディオムやことわざのようなもの)
もフレーズには多く含まれていますが、
英語学習の初期の内から学んでおいた方がよいフレーズも
数多く存在することもまた事実です。

英語学習の基礎ステージの内からフレーズ学習に取り組むことにより、

  • 初期の英語学習に必要な成長感を比較的楽に味わえる。
  • 単語や文法がパッケージ化されてるので英語の処理が楽になる。
  • 会話や文章に自然な流れを作れるようになる。

などのメリットを得ることができますので、
最初から積極的にフレーズの学習に取り組めば、
英語学習においての幸先のよいスタートを切ることができます。

ただし、フレーズ学習をする際の注意点もあります。
それらについては次回の記事にて詳しく触れますが、
ただ単にフレーズだけを学んでいけばいいというものではなく、
英語の他の基礎である、発音・文法・単語と共に、
バランスよく学んでいくことが大事ということです。

そこにさえ気をつければ、フレーズの学習はメリットだらけですので、
(初心者でなくても)皆さんの英語学習のメニューにも
どんどん取り込んでもらえればと思います。

それでは、また!

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