「3人会話問題」 ー 新形式TOEICのリスニング改定の目玉の一つであり、
かつその中でも出てくる場所や対策法が最もハッキリしない問題です。
新形式TOEICの本番とその模試9セットを受けた筆者が
旧形式で満点を取った経験も踏まえて、
その問題の特徴と対策についてまとめていきます。
3人会話問題の説明の前に
まず「3人会話問題」というのは何でしょう?
これは、TOEICのPart 3で出題される新形式の問題です。
Part 3は旧形式でも新形式でも30〜40秒程の会話を聞いて、
その内容に関する3つの質問(4択問題で、質問も選択肢も印刷されている)
に答えるという形式の問題です。
以前までは、2人による会話のみ(10セット)だったのですが、
新形式では13セットに増えた会話の中から
1つか2つほどが3人による会話になっています。
「すごく難しくなるのでは?」とだいぶ警戒された3人会話問題ですが、
フタを開けてみれば確かにやや難化はしているものの
問題の本質そのものは2人の時とそれほど変わりません。
ただ、この問題に関する予備知識を持たないまま、
いきなりこの問題に出くわせば戸惑いやすいのは確かです。
今回は具体的な問題を提示できないので、
3人会話問題の全容や具体的な解法については深く掘り下げません。
その代わりに、この問題の特徴、
「この問題がPart 3の中でどこで出てくるか見分けるポイント」、
そして考えられるその他の対策についてご紹介していきます。
3人会話問題ならではの特徴
まずは、3人会話問題の持つ特徴、
特に2人会話問題では見られなかったものをいくつか簡単にご紹介します。
3人会話問題かどうかは一見では分からないが、事前のアナウンスはあり
3人会話問題は他の新形式問題である意図問題や図表問題と違って、
印刷された問題文を一見しただけでは簡単には判別できません。
「え、じゃあ会話を聞ききながら実際に3人目が出てくるまで、
3人会話問題かどうかは分からないの?」
と思われた方、ご安心ください。
3人会話問題では会話の音声が流れる直前に、
“Questions XX through YY refer to the following conversation with 3 speakers.”
と事前のアナウンスに “with 3 speakers” が必ず付け加えられていますので、
問題を聞きながら、登場人物が何人になるのだろうと心配する必要はありません。
会話してる人の組み合わせは、男2女1または男1女2
2人会話では必ず男女1名ずつの会話でしたが、
3人会話ではこれが男2女1または男1女2になっています。(今のところは。)
男性と女性の声の区別は容易ですので、
最大でも2人の同性の話者の区別さえできればOKということです。
(3人の同性の区別となると相当難しくなるので、
今後もTOEICで導入されることは考えにくいです。)
同性の話者の区別は、慣れていないと難しいかもしれませんが、
この2人は声のトーンだけでなく国籍(アクセント)も違うように選ばれているので、
ある程度英語のリスニングに慣れてくれば違いは分かるようになると思います。
(このための対策については、後ほどまた触れます。)
話者の名前が設問文に出てくる
これまでは、会話の話者は設問中では
単に “the man” または “the woman” と呼ばれてきましたが、
3人会話では2人いる性別側の話者の片方を指す場合は、
その話者の名前で呼ばれることがあります。
(first name と last name のどちらでも出ます。)
つまりどういうことかというと、
会話の話者の名前とその発言内容を
リンクして覚えておく必要がある場合がある、ということです。
全ての3人会話問題で区別が必要ということではありませんが、
設問に個人名が出てきた場合はその可能性が高いので要注意です。
どの問題が3人会話問題かどうか先読みで予想できる?
では、この記事においての3人会話問題での重要ポイントである、
「印刷されてある設問・選択肢だけから先読みで
問題の放送前に3人会話問題であるか予想できるか?」
という疑問について考えていきたいと思います。
これが予想できたらどういうメリットがあるのか聞かれますと、
人によって違いますので、答えはやや複雑になってしまいます。
ただ、3人会話問題への対策をして試験にのぞまれる方にとって、
この問題への心の準備が数秒でも早く取れるようになるのは
大きな差になると思います。(私の場合もそうでした。)
また、Part 3の解答法で定番の「設問の先読み」のリズムを
突然の3人会話問題の出現によって崩される危険性もありますので、
それを防ぐ意味でも3人会話問題の予測ができれば大いに助かります。
以上のようにいくつかの目立たないながらも見逃せないメリットがありますので、
この件についてはしっかりと取り扱っていきたいと思います。
設問中のキーワードから3人会話問題は予測できる。(が、要注意)
3人会話問題を予測するための最大の鍵は、
印刷されてる設問文の中に潜んでるキーワードです。
ただこのキーワードの取り扱いには、注意していただきたいことがあります。
それは、
「それらのキーワードが出ていれば3人会話問題の可能性が高い」
とは言えますが、
「3人会話問題では必ずそのキーワードのどれかがある」
とは言えないということです。
つまり、
「それらのキーワードが出なくても3人会話問題が出る場合はある」
ということです。
もちろん、これらのキーワードが役に立たないというわけではありません。
毎回これらのキーワードが設問に出るわけではないかもしれませんが、
出た時は3人会話問題への確度の高い予測ができます。
ですので、「それらのキーワードが出ていればラッキー」
というくらいの感覚で見ていただけたらと思います。
では、さっそく具体的なキーワードを見ていきましょう!
“the men” や “the women” (複数形)が設問に出たら確実に3人会話問題!
これは一番確実性の高いキーワードです。
“What do the men suggest they do?”
のように複数形で “the men” や “the women” が設問に使われていたら、
確実に3人会話問題です。
なぜならば、2人会話問題ですと(現状では)男性1名女性1名ですので、
このような呼び方ができないからです。
(似たものとして、”the speakers”という呼ばれ方もありますが、
これだと2人会話でも3人会話でも使えてしまうので、
これは3人会話問題の予測には使えません。)
2人会話問題でも同性同士の会話が出るようになると使えなくなりますが、
TOEICの問題の性質上そのような変更は起こりにくいですので、
それまでの長い間、一番確実に使えるキーワードとなります。
“the man” と “the woman” の両方が設問に出たら絶対に違う
上のキーワードの応用です。(これも確度は100%です。)
これはどういうことかと言いますと、
“the man” と “the woman” (単数形)の両方が使われているということは、
その会話では話者は男女それぞれ1名ずつしかいないということを示すので、
確実に2人会話問題であり、3人会話問題では絶対ないと断定できるということです。
この両方のキーワードを使っている2人会話問題の数は多いですし、
問題の仕様を今後どう変更されようと通用しますので、
直接的なキーワードではありませんが、かなり頼れます。
異なる2つの個人名が設問文に出た場合は、3人会話問題の確率が高い
会話問題の1セットにある3つの設問の内、
- “What does John suggest about the school?”
- “What does the woman say about Andrew?”
のように2つの設問文に別の個人名(特に同性の)が出た場合は、
3人会話問題の確率が高いです。
なぜかというと、2人会話の場合は話者ではない
第三者の名前が1つまでは出ることはよくありますが、
2つ出ることはほぼ無いからです。
上の例では、first nameで書きましたが、
last nameで “Mr. Smith” や “Ms. Wright” のように書かれる場合もあります。
(実際、私の受けた本試験でも話者のことを”Mr.”付きで指していました。)
これも2人会話問題の傾向が変わってくると使えなくなってしまいますが、
それまでは有用なキーワードとなると思います。
同じ個人名でも2つの設問文に出た場合は、3人会話問題を疑った方がよい
これは、上の2つに比べると確度がやや落ちるキーワードですが、
2人会話問題ではあまり見られないパターンですので、
間接的に3人会話問題の可能性を高める設問パターンです。
論理的には2人会話問題でもおかしくはないので、信頼度は落ちるのですが、
私の受けた本試験では上記のパターンのいずれにもあてはまらなかったものの、
このパターンにはあてはまっていたので、念のためにご紹介しておきます。
(ちなみにその問題で、前述した “Mr.”付きの名前が出ました。)
その他に3人会話問題の出題パターンで気をつけるべきことは?
以上が3人会話問題の出現を予測できるキーワードでした。
しかし、設問文内のキーワード以外に
何か予測を助けられるパターンは無いのでしょうか?
本番の試験から得られた結論は「そんなものは無い」です。
以下、もう少し具体的に解説していきます。
3人会話問題はPart 3の最初からでも出題される
公式の模試では、3人会話問題はPart 3の中盤以降に出題されていたので、
本番でもそうだろうと誰もが思っていたところ、見事に裏をかかれました。
私の受けた試験フォームでは2つめの会話が3人による会話でした。
他の方の受験レポートを拝見したところ、
最初の会話から3人会話問題のフォームもあったようです。
他のフォームでも序盤に出されたとありました。
ここまで徹底的にやるということは、
「Part 3のどこにでも3人会話問題は出すよ!」
という運営側からの明確なメッセージでしょう。
ですので、Part 3内の位置による予測は無駄です。
最初から最後まで警戒していきましょう。
3人会話問題は2つ以上しかも連続して出されることもある
ある本試験のフォームでは、3人会話問題が2セット連続で出題されたそうです。
公式模試では1テストにつき1つしか出題されなかったので、これも驚きでした。
ですので、3人会話問題が1つ出ても安心しないで、
引き続きいつでもまた出題されても大丈夫なようにしておきましょう。
3人会話問題と意図問題の混合問題もあり
これはまだ本試験ではハッキリとは確認されていませんが、
韓国の公式模試では3人会話問題の中で新形式の意図問題が出題されています。
(意図問題については、今後の記事で詳しく説明いたします。)
つまり、意図問題の設問が見えても
3人会話問題の可能性を除外できないということです。
もう一つの新形式問題である図表問題との混合問題は、
これまでどこにおいても確認されていませんが、
今後そのような問題が出されても何ら不思議ではありませんので、
「3人会話問題は他の新形式問題と併せては出題されない」
という思い込みは捨てた方がよいでしょう。
以上をまとめると、最初に申し上げましたように
「3人会話問題はPart 3のどこにでも何回でも出題され得る」
ということです。
したがって、できることならば最初から最後まで
3人会話問題が来るかどうかをしっかり予測しながら警戒した方がよいです。
ただ、Part 3の間ずっと警戒し続けるのは心理的負担が重く、
他のところに悪影響が出かねないので、
あくまでも「余裕のある人が先読みできる余裕のある時には警戒する」
程度に留めておいた方がよいかもしれません。
3人会話問題にはどう対応する?
ここまでは、3人会話問題がいつ出るかの予測についてでしたが、
では3人会話問題が出た時にはどう対応したらよいのでしょうか?
同性の2人の話者の区別ができるようにすることが必須
まず、同性の2人の話者の区別ができるようにすることが
どの3人会話問題の解答にも必須です。
その2人の声質や国籍(アクセント)は異なるように
テストの仕様として設定されているので、区別するのは十分可能です。
それでも慣れない内は区別が難しいかもしれませんので、
普段の学習から意識的に色々な声質・アクセントの英語を聞いて
違いが分かるようなトレーニングをした方が良さそうです。
とりあえず公式模試のナレーターの声に慣れておけば、
それがほぼそのまま本番のナレーターの声となりますので、
公式模試は一度解いた後も音声を繰り返して聞いて、
ナレーターの声質やアクセントに慣れておきましょう。
日本の公式問題集だけでは飽き足らない方は、
韓国の公式問題集のリスニング版でさらに3模試分の音声に触れられます。
(解説文は韓国語ですので、解説は不要という方向けです。)
話者の名前と発言内容を結び付けられるように
前項の事ができるようになった後は、
3人会話問題の中でも特に難しい
- “What does Beth suggest about the restaurant?”
- “What does the man say about Wendy?”
のように会話をしてる人の名前が出てくる質問への対応です。
このような設問を先読みで見つけたら要注意です。
その時は、それぞれの話者の名前と発言内容を
頭の中で結びつけて把握しておく必要があるからです。
(これは上級者にとっても中々難しい作業です。)
ただ、
「どんな学習をしたらこれができるようになるの?」
という質問には、
「3人以上のネイティブ同士の会話に慣れてください。」
としか答えようがないのが苦しいところです。
普通の英語学習用の教材だと
3人以上の会話を聞く機会があまり持てないので練習自体が難しいのですよね。
ある程度英語リスニング自体は既にできる方は、
既に内容を知ってる映画やドラマなどで会話が多いものを画面を見ずに視聴して、
頭の中にキャラクターと発言内容のリンクを作って場面を再現できるようにすると、
良いトレーニングになるかと思います。
2人会話問題よりやや会話の切り替えのテンポが早いという特徴にも
上記の会話中心の映画・ドラマを「聞く」ようにしておくと、
英語の会話のリズムが身に染みこんできて、
TOEICのペースでは戸惑わないようになるので一石二鳥かと思います。
映画やドラマはまだ難しいと感じる場合の対策
ただ、映画やドラマを英語学習の中に組み込めるのは、
やや上級者の方たちだと思います。
そこで、
「映画やドラマはまだちょっと難しすぎる!」
と思われる方には、TOEIC教材と映画・ドラマの中間レベルの
のシリーズのような教材を試されるとよいかもしれません。
これでも難しいと感じる方は、まずはTOEIC向けの学習教材で、
リスニングの他の問題をしっかり聞きとれ、そして解けるようになってから、
3人会話問題専用の対策をした方がよいかもしれません。
やはり、3人会話問題は難しい部類に入る問題ですので、
900点以上のような高スコアを狙うのでなければ、
取りこぼしても仕方のない問題だという割り切りも必要だと思います。
聞きながら解くというのも一つの手
会話の放送を聞きながら問題を解くという方針を導入すると、
記憶を保持しておくスパンが短くなりますので、
人物がごちゃごちゃになりやすい3人会話問題が
解きやすくなる場合もあるかと思います。
詳しくは別記事で解説する予定ですので、
今ここでは深くは触れませんが、
対策の手段の一つの可能性として、
心に留めていただければと思います。
まとめ
さて、以上でTOEICの新形式問題の
「3人会話問題」についての解説を終わらせていただきます。
この問題の特徴や、出てくる事を予測するためのパターン、
準備や対策のやりかたについて一通り解説してきましたが、
いかがだったでしょうか?
出題を予測するためのパターンについておさらいしますと、
- the men や the women が設問に出たら3人会話問題。
- the man と the woman の両方が設問に出たら2人会話問題。
- 個人名が2種類設問に出たら高確率で3人会話問題。
- 1つの個人名でも複数の設問に出たら、3人会話問題を疑う。
- 3人会話問題はPart 3のどこにでも何度でも出題され得る。
の5つに集約されると思います。
準備や対策としては、
- TOEICのナレーターの「声」に慣れて、同性でも区別できるようにする。
- 3人以上のネイティブ同士の会話を普段の学習で聞くようにする。
- 高スコアを狙わらないならば、専用の対策はしない位割り切る。
- 会話を聞きながら解く方法を試してみる。
などを紹介いたしました。
今回は、「3人会話問題」に焦点をあてた記事となりましたが、
次は新形式TOEICのリスニング全体やリーディング全体についても
まとめていく予定ですので、ご期待ください!
それでは、また!