【イメージ!?】英単語を使える形で覚えるための脳への刻み方

英語を学び始める際に、まず勧められるのが単語の学習です。

「とにかく語彙がなきゃ始まらない」
「まずは単語からでしょ」

のような決まり文句と共に。

確かに単語を覚えることは英語の基礎として大事です。
しかし、それ以上に単語の覚え方を身につける方が圧倒的に重要です。

この「単語の覚え方」は、中高で既に英語を学んだ人の大半は、
学校・塾や参考書に教えてもらったやり方、
あるいはそれに自分なりのアレンジを加えたやり方を持っています。

そのやり方でもある程度の単語を覚えることができたので、
覚え方に問題を見出すことはあまり無かったものと思います。

しかし、そのような従来の単語の覚え方では、
ある程度の期間は覚えられてはいても、
高校・大学受験の後にはほとんど忘れていたり、
たとえ覚えていても、話す際にパッと思い出して使えるほどには
しっかりと覚えてはいないのではないでしょうか?

「単語の覚え方」の成果の差の要因には、
言語化しにくい覚えるためのポイントの存在があります。
それらはあまりにも基礎的なことであるために、
大半の学習者が特に意識をしてこなかったので、
これに関する情報の交換は、あまり盛んに行われてきませんでした。

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ただし、単語の覚え方と言っても、

  • 「一日に覚えていくべき単語数はこれくらい」
  • 「エビングハウスの忘却曲線に従って単語の復習をする」
  • 「覚える効率を上げるには、単語カードよりもアプリがよい」

のように、単語の学習計画の立て方や、
覚えるのに使う道具・技術の話ではありません。

それらも重要ではあるとは思いますが、
より重要なのは、ある覚えたい単語が一つあったとして、
それの「何」を「どのような形」で頭に入れるかです。

この部分を間違えて学習を進めてしまうと、
たとえ1万語の暗記に成功したとしても、
英語を読み・聞きする際にも断片的にしか意味を把握できず、
アウトプットはさらにおぼつかないという状態に陥りかねません。

大学受験で3〜5千語ほどの意味は暗記したはずなのに、
英会話になるとほとんどの単語が出てこないという現象の原因も
大半はこの単語の覚え方にある
と言えます。

単語の効率的な覚え方にはある程度の個人差があり、
唯一の正解的なベストの方法を決めるのは確かに難しいです。
しかし、正解に近い要素をある程度は持つ、
ベターな方法というのは提示できます。

そこで今回は、そんなベターな覚え方の一つの例として、
アメリカの中学で2年間サバイバルしながら身につけた
私の英単語の覚え方をベースに、
英単語の習得プロセスの最近の科学的知見を加味して、
「ある英単語を覚える時に、一体何をどう頭に入れていくのか?」
という事を、簡単にですがご紹介したいと思います。

クイズの答えを覚えるように「英語⇔日本語」のペアで覚えない

まず、お勧める単語の覚え方の説明に入る前に、
従来の一般的な単語の覚え方は、
一体どこが悪いのかについて考えてみます。

英単語の覚え方として、おそらく日本で一般的なのは、

  • スペル
  • 音(自己流の読み方)
  • いくつかの日本語の訳語のセット

この3つを頭の中で結びつけて覚えるというものだと思います。

中学や高校でもこのようなスタイルで覚えていくので、
学校の卒業以降も英単語を学習しようという時は、
同じように学ばれた方も多いのではないでしょうか?

しかし、このクイズの答えを覚えるときのように
「英語⇔日本語」のペアの関連づけのみで単語を覚えようとするのは、
使える英語を身につけるための学習法としては、最悪の部類です。

この「英語⇔日本語」のペアだけで覚える方法は、
一つの単語の記憶にかける労力が少ないので、
「多くの単語の意味を薄くてもいいので覚えたい」
という試験勉強のための方法としては悪くないと思います。

大学受験の問題は、単語の意味がおぼろげでも分かりさえすれば、
後は時間をかけて文全体の意味を推測できる場合も多いです。
和文英訳の際も、英単語を覚える際に対応させた日本語の訳語が
そのま問題に使われる場合が多いので、
このクイズの答えを覚えるような方法でも
なんとか切り抜けられるのだと思います。

けれど、現実に使われている英語では、
そのような浅い記憶では応用が効かず、
対応しきれない
場合が多々あります。
一つの単語の反応に使える時間も約0.3秒ほどしか無いですし、
覚えた訳語の単純な置き換えでは意味が通らなかったりするからです。
訳語からは想像もできないような意味で使われる場合すらあります。

このように、「試験英語の世界」と「現実英語の世界」で要求される
英語処理の仕方とそれに要求されるスピードが全く違います

よって、従来の「英語と日本語の対応のみで単語を覚えるやり方」では、
実用的な英語の用途には耐えられないため、
よりよい単語の覚え方を身につける必要があるのです。

単語の「音・スペル・意味イメージ・用法毎の例文」をリンクして覚える

英単語を音・スペル・意味イメージ・用法&例文をリンクさせて覚える時の記憶ツリーの図

単純な「英語⇔日本語」のペアで覚える方法がだめなのなら、
どのように単語を覚えていったらいいのでしょうか?

その答えの一つとなるのが、上の図で示したような

  • スペル
  • 意味イメージ

という、単語に関する3つのコアな情報と、
単語の具体的な個別の用法とその例文のセット
結びつけて覚える方法です。

まず、「音とスペル」のペアが重要です。
単語の発音を聞いたらスペルの輪郭が思い浮かび、
逆に単語のスペルを見たら発音が頭の中で聞こえる、
というような状態を作るのが先決です。
(このプロセスは「発音」の学習で
音素の発音とフォニックスを学ぶことにより簡単になります。)

ここまでは従来の方法とそれほど変わりません。
単語の音が日本的な発音ではなく、
きちんとした発音で覚えることを徹底するという違いがあるくらいです。

一つ目の大きな違いは、その「音とスペル」のペアに
単語の「意味イメージ」をリンクさせることから始まります。

意味イメージは視覚的イメージだけではない

この「意味イメージ」とは何でしょうか?
これは「逆転英語ガイド」で使用している独自の用語なので、
説明を入れておきたいとは思いますが、
それを詳しく説明すると長くなりすぎてしまうので、
ここでは簡単な説明だけさせてもらいます。

(認知科学における「意味記憶」に近いものですが、
それよりさらに包括的な意味合いを持たせているので、
学術用語との混乱を避けるため、
独自の用語を使わせてもらっています。)

一般的に単語の「イメージ」というと、
その単語を見聞きした時に思い浮かべる
視覚的あるいは描写的なイメージのことだと
思われる方が多いかと思います。

「apple」と聞いたら「りんご」という日本語ではなく、
「りんごの映像」を思い浮かべるようにした方がよい、
という話はこの説明によく使われる例ですので、
既に聞いたことのある方もおられるのではないでしょうか。

しかし、ここで言う「意味イメージ」は
その描写的なイメージだけに限らない、
もう少し広い意味でのイメージ
を含みます。

例えば、単語や例文を聞いた時の
自分の心の反応を基にした「感情的」なイメージ
(これはcold, sadなどの形容詞の記憶に特に効きます。)

他にも、「関連語の持つイメージから連想されるイメージ」
「訳語となる日本語の共通項から感じ取られるイメージ」など、
その単語の意味を捉えるために役立つ様々な角度からのイメージを
統合したものが「意味イメージ」
です。

日本語の訳語だけではカバーしきれない、
抽象度が高い「意味」を引き出せる記憶のトリガーとして、
この「意味イメージ」を使っていくのが、
ここでお伝えする効果的な単語の覚え方の第一のポイントです。

具体的な用法の意味を覚えやすくするために意味イメージを使う

ただ、この「意味イメージ」だけでは抽象的すぎて、
実際に使う際に意味を考えなおさねばならず、使いづらいです。

実際に使う時のことを考えると、個別の具体的な用法も学んで、
それを使った例文と共に覚えておく
必要があります。

その例文を自分の想像の体験の中で
言っている/言われている様子を思い浮かべると
「エピソード記憶」と言って、
中長期的に覚えやすい記憶に変換していくことができるので、
だいぶ覚えやすくなります。

それでも、それらの個別の用法をバラバラに覚えようとすると、
意味がかなり違うように感じ、覚えづらい
場合が多々あります。

例えば、hot という単語(形容詞)で見てみましょう。
多くの用法の中から4つほどを取り出してみても、

  • This room is hot. (温度が高い。暑い/熱い。)
  • Thai food is hot. (味が辛い。)
  • She is so hot. (性的魅力がある。セクシー。)
  • This game is hot. (面白い。人気がある。)

のようにかなり違った意味のように感じられ、
これらの用法を別々に覚えていくのは大変です。

(これらの用法を使われてる場面を実際に経験していると、
記憶が多少は楽になるのですが。)

ですから、これらの個別の意味の共通項となりそうな
「意味イメージ」を自分の頭の中で作っていきます。
例えば、「炎が燃えさかって熱や光を発し続ける、
そしてその熱や勢いを自分も感じている」
というようなイメージです。

その中心となる抽象的な「意味イメージ」を基にして、
具体的な個別の用法の意味をすぐに想起できるように
しておきます。

こうすることによって個別の用法の意味を、
その例文から直接思い起こせる「エピソード記憶」的な面と
「意味イメージ」から思い起こせる抽象的な意味の面の
両方からのつながりが生まれるので、
より忘れにくく、使う際に思い出しやすい記憶となっていきます。

また、今までに見たことのない用法でも、
なんとなくどういう意味で使ってるのかを
「意味イメージ」から感じて
瞬間的に推測することもできるようになります。

このように、実際の使用に便利な「個別の用法とその例文」の記憶を
それを束ねておくハブとしての「意味イメージ」とつなげることによって、
ますます使いやすく忘れにくい記憶へと変えていくわけです。

この抽象的な「意味イメージ」と具体的な「用法と例文」の
2つの層に分けて覚えていく
ことが、
効果的な単語の覚え方の第二のポイントです。

まとめ

これで、現実の英語の使用にも耐えられる
効果的な単語の覚え方のポイントを
一通りご紹介し終えましたが、いかがでしたでしょうか?

従来の一般的な単語の覚え方では、

(「音」⇔「スペル」)のペア

      

「日本語の訳語いくつかのセット」

という単純な結びつきで、
覚え方がとっつきやすくはあるけれど、
日本語の訳語に縛られて、応用が効かないのが難点でした。

これをより応用が効くようにするために、
「意味イメージ」という考え方を導入し、
「具体的な用法とその例文のセット」も一緒に覚えることにして、

(「音」⇔「スペル」)のペア

   

「意味イメージ」

   

「具体的な用法とその例文のセット」

のような記憶の構成で覚えていくと、
応用が効く上に忘れにくく、
またある程度未知の用法にも対応できるとご紹介しました。

今までの皆さんの単語の覚え方とだいぶ違う場合は、
これをそのままスンナリと導入するのは難しいかもしれませんが、
将来的に単語の覚え方を根本的に変えたいと思われた時は、
その参考にしていただければ幸いです。

「逆転英語ガイド」にて今後展開していく、単語学習のレッスンでも、
上に挙げた、

  • スペル
  • 意味イメージ
  • 具体的な用法とその例文

の4点を主軸として覚えていけるような構成に
していきたいと思いますので、ご期待ください。

それでは、また!

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