日本の中学・高校で英語の文法をあれだけ学ぶのに、
なぜ多くの日本人は、英語を話す・聞くのが苦手なのでしょう?
もちろん、英語の音への慣れが無いのも一因です。
しかし、それ以上に大きい別の原因は、
文法を瞬時に使えるように学んでいないことにあります。
英語のネイティブスピーカーが話す平均的な速度は、
およそ毎分200語(wpm = words per minute)前後と言われています。
つまり、1単語あたり約0.3秒です。
(ちなみにセンター試験のリスニングでは130-160wpm,
TOEICのリスニング Part4では150-180wpmほど。)
それに対して、日本人の大学1年生の「読む」平均的な速度、
つまり英語の意味をある程度以上理解しながら解釈できる速度は、
なんと大体80-100wpmほど。
つまり、必要な処理速度の半分にも足りていないことになります。
この英語を解釈する速度の遅さの主な原因は、
学校で教わった英文法の学び方・使い方にあると
「逆転英語ガイド」では考えています。
これは聞く時だけはなく、話す時も同様です。
話す時に有効な文法の使い方が、
学校や一般の学習書では教えられていないので、
多くの日本の英語学習者が、
英文法を使いにくい形で覚えさせられているのです。
この英語の文法との向き合い方の違いは、
ちょっとでもまとまった会話をしようとしたら影響が出ます。
ましてや、大学の講義や会社の会議などで
使える英語を身につけようと思えば、更に意識せざるをえません。
そこで今回は、英語を瞬時に使えるような「文法」を学ぶために
重要な3つのコツ(または心構え)をご紹介したいと思います。
1: 簡単な文法事項は、瞬時に自動的に口に出せるまで使う練習をする
文法というのは単にルールを覚えるだけでは全く役に立ちません。
そのルールを理解して、知識として頭に入れた上で、
全く考えなくても、単語がそのルールにそって、
自動的に口から出てくるような状態になるまで
そのルールを脳と口と耳に染み込ませなくてはダメです。
例えば、 Isn’t it great? (=これってスゴくない?)
と言おうと思った時に、
Is it not great? や Doesn’t it great? や Aren’t it great?
と言い間違えることは寝ぼけていても絶対に無いように
(たとえ言ってしまっても、耳から聞こえる声や口の動きの異変から
すぐにおかしく感じるように)なっておく必要があるということです。
この状態になるためには、「発音」の学習は当然の前提にあるとして、
その上で、同じようなパターンの文章を何個も瞬時にひねり出す
パターンプラクティス的なトレーニングを
それぞれの文法事項について重ねていくことになります。
これは、確かにちょっと大変な作業です。
けれど、スポーツや自動車の運転のルールと同じで、
瞬時に判断してルールを使わなくてはいけない状況では、
一つ一つのルールをその場で思い出しながら使っていたのでは、
遅すぎて全く役に立たないのです。
ですから、少し地道で大変でも、
体と脳が自動的に反応するようになるぐらいまで
スポーツのようにひたすら練習を重ねるということが、
使える文法を身につける上での一つめのポイントなります。
2: 文の基本構造(≠5文型)を把握した上で文法を学ぶ
文の基本構造と言いましたが、
これはいわゆる「5文型」のことではありません。
少しだけ脱線して、「5文型」について述べさせてもらいます。
この「5文型」は、単に動詞の頻出用法をまとめたものであって、
各動詞の使い方を覚える際の手がかりとしては有用でも、
それを使って文章の構造を分析・把握しようとするのは、
リアルタイムで英語を使う際には邪魔にしかなりません。
ですので、「5文型」をベースにした英文分析は即刻やめてください。
さて、本題に戻ります。
英語の文章には、「5文型」ではありませんが、
基本的な構造あるいはテンプレのようなものが存在します。
英文法をじっくりと本格的に学び始める前に、
その構造の大枠的なものを知っておくと、
それから学ぶそれぞれの文法事項が
その大枠のどこにあてはまる項目なのかを把握できます。
このような学習マップを頭の中に作り上げられれば、
学習の意義づけも容易になり、記憶にも定着しやすくなるので、
まずはこの基本的な構造を一通り頭に入れることが
文法の学習の成功の鍵です。
さらに、この構造を感覚的に把握できるようになるまで
トレーニングを続けると(「発展」ステージになりますが)
英語の文章がの意味が単語やフレーズ単位ではなく、
もう少し大きな意味の固まりでつかめるようになってきます。
ですから、学習マップとしての役割だけでなく、
次のステージで文法を使っていくための基盤ともなる考え方ですので、
ぜひとも「基礎」の段階でで身につけてもらいたいと思います。
かなり抽象的な話になってしまい申しわけありませんが、
具体的な説明をしようと思うと、
いくつもの記事を重ねる事になってしまう項目ですので、
それは今後に公開予定の文法レッスンの記事にて、
詳しく説明させていただこうと思います。
3: 発音の復習とトレーニングを文法を学びながら続ける
これは一番目の「簡単な文法は瞬時に口に出せるようにする」
に通じる部分もあるのですが、習得していく文法事項は、
正しい発音・リズム・ストレス・イントネーションに乗せて
口に出せるようにしないと、使えるレベルで習得したとは言えません。
文法事項と「発音」が頭の中でしっかりリンクしていないと、
リスニングやスピーキングの際に影響が出るだけでなく、
一見「発音」とは関係無いように思えるリーディングやライティング時にも、
スピードが要求される場合には制限をかけてしまうことになります。
なぜならば、それらの際にも英語の瞬発的な解釈が実は求められるので、
その解釈のスピードを成立させるためには、
音の自然さを基にして文法の正しさの判断をする必要があるからです。
そのため「逆転英語ガイド」では、文法を学習している際も
基礎の「発音」のパートで学んだことを復習することによって、
文法と「発音」を同時に相乗的に学び、
両者の脳内での結びつきを強めることを推奨しており、
そのような学習ができるようなレッスン記事を展開していく予定です。
まとめ
さて、ここまで英語を瞬時に使えるようになるための
文法の学び方のコツ・心構えを3つご紹介しました。
振り返ってみますと、
- 簡単な文法事項は、瞬時に自動的に口に出せるまで使う練習をする。
- 文の基本構造(≠5文型)を把握した上で文法を学ぶ。
- 発音の復習とトレーニングを文法を学びながら続ける。
となります。
学校で教えられている文法の覚え方・使い方とは全く違いますので、
しっかりと理解してもらうには、さらに詳しい説明が必要かと思いますが、
それは今後のレッスン記事にて補足していこうと思っておりますので、
今のところは大枠のイメージをつかんでいただければ、幸いです。
「逆転英語ガイド」の文法レッスンでも、
この3つのポイントを組み込むような形で進めていきます。
特に3番目の音に関しましては、
最初から自然な話し方に慣れてもらうために、
他の基礎的な文法参考書の収録英語音声でよくあるような
初学者向けのゆっくりとした、普段は話さない調子のものではなく、
ほとんど手加減のない、音の変化もしっかりつけた音声を
なぜそうなるのかという解説を添えながら伝えていこうと考えています。
ですので、初学者だけでなく、
中学・高校で基礎的な文法を一通り学んだ方も、
新しい英語の解釈の仕方を学べると同時に
「発音」も学べるような構成の文法レッスン
となる予定ですので、ご期待ください。
それでは、また!